続いて、パのワースト投手の発表だ。今季は推定年俸9億円から4億7500万円と大幅ダウンで臨んだ楽天・田中将大(34)だったが、エースとは思えぬ防御率4.91は、メジャー時代を含めたプロ17年で自己ワースト。満場一致で2年連続の受賞となった。
角氏は「日本式の野球に頭を切り替える必要がある」として、こう指摘する。
「メジャーは球数制限があるから、ムダ球を省いてストライクゾーンで勝負する傾向がある。その頃と同じように投げているから打たれるんですよ。全盛期ほどボールに力がないし、ストライクゾーンに投げてくると思えばバッターも怖くないですからね。例えば5回まででいい、と決めてボール球をうまく使えば、まだまだ活躍できるでしょう」
愛甲氏もピッチングのワンパターン化を指摘し、「年齢とともに変えていかないといけない」と、来季に向けての〝成長〟に期待するが、一方、伊原氏はチームへの貢献度という点で7勝11敗をそこそこ評価している。
「もちろ、年俸にはとても見合わない成績ですけどね。ですが、1勝10敗で終わった西武のエンス(32)や、今季登板がなかったロッテの石川歩(35)などと比べて、ローテーション通りに投げていますから」
日米通算200勝まで残り3勝。来季はさらなる大幅な減俸で挑むことになりそうだ。
救援陣に目を向けると、セはDeNAの山﨑康晃(31)が文句なしの受賞となった。昨年は37セーブ(防御率1.33)を挙げたものの、今季は20セーブで防御率は4.37と打たれまくった。
「来季でプロ入り10年目を迎えますが、正直、下り坂ですね。球速にしても昨年はキレがあり、バットに当たってもファウルになっていたのに、今季は打たれてしまう。彼はコントロールがいいように見えて、実は悪いんですよ。それに比べて今年14年目のオリックスの平野佳寿(39)はコントロールがよくて、フォークも自在に扱えるから好成績(29セーブ&防御率1.13)を残せている。2人のコントロールの差は大きいです」(伊原氏)
一方のパは、ロッテの益田直也(33)の場合、2勝5敗36セーブと昨年の25セーブを上回ったが、防御率3.71はいただけない結果だった。
「長年の疲労かな。後半は四球が多くて防御率も下げた。9月にクローザーから降ろされた試合もあったけど、あのまま益田が投げていたら負け試合も増えたでしょうね。防御率5.45の西武の増田達至(35)もそうですが、力の衰えを感じます」(伊原氏)
高額な年俸をもらっているからこそ、年齢の上昇とともに、投球術を磨いていく必要があるのに‥‥。