【相談】
友人が「おいしい」と評判のコッペパンをお土産に買ってきてくれました。「30分も並んだだけのことはある」とおいしそうに食べる友人には言えませんでしたが、正直「並んで買うほどの味かな?」と思いました。これは「行列に並んだ労力の分だけおいしく感じる」という効果でしょうか? 私は、並ぶことが嫌いで、好きなラーメン店も行列してまで食べたいとは思いません。食通の弘兼先生は「行列店」に並ぶのは好きですか?(46歳・介護福祉士)
【回答】
私も基本的にあなたと同じ考えです。確かにコッペパンで30分は並べません(笑)。というか、いくらおいしい物でも並んでまで食べたいと思うものはあまりありません。
だから、好きで時々行っていた店が、テレビや何かで紹介され、急に人気店になると困ってしまうことがあります。
実際、好きだった某とんかつ店に行ってみると、階段から1階の外まで人がズラッと並んでいて「こりゃダメだ」とあきらめました。
とんかつ店は客の回転がそんなに速くありませんからね。それ以来、残念ですが、そこには行かなくなってしまいました。
私が行列に並ばないのは、時間がもったいないからです。
そもそも、今の私には1時間も待つようなスケジュールの余裕はありませんし、スッと入って食べた物と、1時間待って食べた物の差が、そんなにあるとも思えません。もちろん多少は、おいしいのかもしれませんが、1時間も待って食べたいとは思わないですね。
最近は飲食店の情報があふれかえっていますから、SNSやテレビなどで紹介された店はすぐ人気になり、行列ができやすくなるのでしょう。
そして行列ができていると、SNSやテレビを見ていない人も「こんなに行列ができるなんて、この店はそんなにおいしいのか」とさらに並ぶ人が増え、行列が長くなるわけです。
逆に、その店が並んでもおいしくなかった場合は「そこまでして食べるほどの店か?」と、後悔してしまいます。
並ぶのが嫌いな私でも、比較的苦にならないのは、ラーメンでしょうか。ラーメン店は客の回転が速いから、結構な行列ができていても、せいぜい15分とか20分とか、それほど待たない場合も多いように感じます。
これまで、並んでまで食べた店は、荻窪の「味噌っ子 ふっく」、江戸川橋の「三ん寅」あたりです。どちらも味噌ラーメンがおいしく、並ぶ価値がある店です。機会があればぜひ食べてください。
あと、手土産を買う時も並ぶことが時々あります。受け取る側は「なかなか買えないレアな商品、あの店の限定の○○をわざわざ買ってきてくれた」などという、別の価値が生まれるからです。渡した時に喜ぶ顔をみるのもうれしいものです。