【相談】
最近は何をしても「不適切だ」「○○ハラスメントだ」と批判される世の中です。平成バブルを味わった昭和男としては、がんじからめで肩身が狭い毎日です。先日も、電車の中でお腹の大きな妊婦さんを見かけたので、率先して席を譲ったのですが、女性はこちらをキッとニラんで「結構です」と一言。思えば、ふくよかな体型というだけで妊婦さんではなかったのかもしれません。その後、車内にいるのが恥ずかしく、次の駅で他の車両に移動しました。私は間違ったことをしたのでしょうか?(63歳・ビル管理)
【回答】
かつて、私も電車内でお年寄りに席を譲ろうとしたら「俺はまだそんな年寄りじゃない!」と拒否されたことがあります。私は少々面食らいつつも「そうですか」と、また席に座り直しました。その時は、親切でしたことだったのに、やはりどこか釈然としませんでした。
私の知人もあなたと似た経験をしています。その知人が電車の優先席に座っていると、目の前にお腹の大きな女性が立ちました。妊婦さんであれば、すぐに席を譲るつもりだったそうですが、見た感じ、マタニティーマークを付けていないようで「もし違っていたら失礼になるなよぁ」と、声をかけようか迷っていました。
すると、その知人の隣に座っていた男性が「どうぞ」と席を譲り、その女性はお礼を言って座席に座ったそうです。つまり、その女性は妊婦さんで正しかったのでしょう。
席を譲った男性がどうしてその女性のことを妊婦さんだと確信できたのかわかりませんが、もし違っていたら、あなたの相談と同じ展開になっていたかもしれません。
私が思うに、席を譲るのがマナーならば、譲られる側にもマナーがあってしかるべきです。
マナーとはいえ、席を譲ってくれるのは善意からです。その善意をせっかく向けてくれる人がいるのに、「必要ありません!」といった強い言葉でピシャっと拒絶してしまったら、相手に恥をかかせることにもなってしまいます。もしかしたら「もう二度と席なんか譲らない」とトラウマになってしまうことだってあるでしょう。
私も76歳で、もう完全に席を譲られる側です。仮に立っているのが苦ではなくても「席を譲りましょうか」と言われたら「ありがとうございます」と言って譲ってもらうようにしています。
せっかく相手が立ち上がってくれたのですから、その行為を無にしない。それが譲られる側に求められるマナーだと思うのです。
最近はお年寄りが、重い荷物を持ち、いかにも辛そうにして目の前に立っているのに、スマホに夢中になって周りが見えていない人が結構いるようにも思います。
あなたは、決して間違ったことをしたわけではありません。これからもひるまずに席を譲っていってほしいと思います。