パリ五輪サッカー日本代表がイスラエルを破り、3連勝で準決勝進出を決めた。大会前には23歳以上の選手を招集する「オーバーエイジ枠」を使わなかったことで、グループリーグを突破できるのか懸念されたが、サポーターの心配を見事に吹き飛ばした。
オーバーエイジ枠が導入されたのは、1996年のアトランタ五輪。日本代表はここから8大会連続で五輪に出場しているが、オーバーエイジ枠を使わなかったのは、今回も含めて、アトランタ五輪と北京五輪の3大会だけだ。
そのアトランタ五輪で指揮を執った西野朗氏が、選手として出場した前園真聖氏のYouTubeチャンネルで、なぜオーバーエイジ枠を使わなかったのか、明らかにした。
「ユースからやってきて成長しているこのメンバーが、アトランタ経由でフランスに行ってワールドカップに出てほしい、っていうのがすごくあったから。メンバーがみんな成長して、加茂周(日本代表監督)さんのところに引き上げてほしい、という強い思いがあった」
選手を成長させるためにオーバーエイジ枠を使わなかったというのだ。
しかし、28年ぶりの五輪出場とあって、サッカー協会からオーバーエイジ枠について何か言われなかったのか、と聞かれた西野氏は、
「28年ぶりに五輪に出て、この力で出た、監督がいらないって言っていることに協会は『いや、それでもカズ、井原を使え』とは言わなかった。川淵さんから提案はもちろんあったけど、この世代が次はフランスでやってもらわないと困るんで、成長してもらうためにはこのメンバーでできるだけ(試合をして)経験させたいです、と」
西野氏の思惑どおり、アトランタ五輪代表からは川口能活や前園真聖、城彰二、中田英寿、松田直樹とA代表で活躍する選手を多く輩出した。
今五輪のメンバーからも、A代表に呼ばれる選手が出てくるはず。そんな選手たちがサムライブルーをより強くしてくれることに期待したい。
ただ、カズと井原がいる五輪代表を見てみたかった、というサポーターも少なくなさそうだが…。
(鈴木誠)