米ルイジアナ州セント・フランシスビルにある「マートルズ・プランテーション」は、かつて大規模農園だった場所だ。広大な敷地内には現在、ホテルやレストランが建ち、訪れる観光客があとを絶たない。
大半の観光客の目当ては、ここにひっそりと佇む邸宅。1796年に建設されたものだが、これまでに数々の超常現象が起きていることで「アメリカで最も幽霊が多く出る家」としてゴーストツアーが組まれるほどだ。
そんな中、大騒動が勃発したのが今年7月11日だった。邸宅内で撮影された2枚の写真が公式Facebook「The Myrtles」にアップされ、うち1枚に長い髪の女性の霊が写り込んでいたとして、「Express.co.uk」などの英ニュースメディアが大々的に報道。地元が大揺れしているというのだ。
不気味な写真がアップされたのは1年ぶり。昨年2月にも、頭に不思議なかぶりものをして古めかしい服を着た少女の姿が、Facebookで公開されている。おそらく邸宅で暮らしていた少女ではないかというのだが、今回は物悲しそうな表情を浮かべた若い女性。この邸宅に若い女性はいなかったことから、その正体をめぐって様々な憶測が飛び交っている。
この邸宅は1817年に、前オーナーからクラーク・ウッドラフという人物が引き継ぎ、妻と3人の子供たちとで暮らしていた。ところが妻のサラが黄熱病で亡くなると、そのあとを追うように、子供2人も黄熱病によりこの世を去るという悲劇に見舞われた。超常現象研究家が語る。
「ところが噂によると、これは表向きな話であって、実はサラ夫人と子供たちは、邸宅内で家族と暮らしていたクロエという奴隷によって殺害された、と。ウッドラフ氏は夫人が3人目を身籠っている間、クロエに『夜の世話』をさせていたものの、出産と同時に、その関係にピリオドが打たれた。するとウッドラフ氏は、クロエが家族の会話を盗み聞きしていたとして、部下にクロエの耳をそぎ落すよう命じたというんです。奴隷とはいえ、一時は連日のように夜を共にしたウッドラフ氏からの残忍な仕打ち。復讐の炎を燃やしたクロエは、ウッドラフ氏が最も大切にする家族を皆殺しにすることを決意します。娘の誕生日にケーキに毒を盛り、夫人、2人の子供もろとも殺害してしまったというわけです」
ウッドラフ氏が絶望と激しい怒りに震えたことは言うまでもない。他の奴隷たちは「このままでは自分たちも全員、殺されてしまう」と恐怖におののき、クロエを邸宅の庭にある木に吊るし、殺してしまったというのだ。
「今回アップされた写真の女性がクロエなのかどうかはわかりませんが、この邸宅では同様の目撃談や超常現象が次々と噴出しています。このニュースが世界に配信されたことで、ゴーストツアー人気がさらに高まることは間違いないでしょうね」(前出・超常現象研究家)
話題作りの都市伝説なのか、あるいはホンモノの幽霊なのか。猛暑には人気の心霊ツアーだが、取り憑かれることがあることも忘れてはならない。
(ジョン・ドゥ)