「柔道でも電気審判機などの器具を導入するべきだ」
パリ五輪柔道での誤審騒動の連続に端を発し、こんな声が日本国内で拡大している。長年、柔道の取材に携わるスポーツライターは、次のように話す。
「決勝戦をはじめ、とにかくパリ五輪の判定はひどかった。阿部一二三がタックルのような技で負けたが、あれなども本来なら技ではない。明らかに審判員の技量不足ですね。あの程度の技量の持ち主が五輪の決勝戦で審判を務めるなら、AI審判を導入した方がいい、との声が日本だけでなく、世界中から上がることでしょう」
特に日本国内でその流れに拍車をかけているのが、フェンシング日本代表の快進撃だ。金2個を含めて、メダル5個を獲得。フランスが発祥の地だとされるフェンシングは、いまや日本のお家芸ともいえる競技になっている。
事実、男子フルーレ準決勝では、フランス代表を撃破。女子サーブル団体でも世界ランキング1位のフランスに勝ち、銅メダルを手にした。その理由として代表チームの強化など様々な要素が挙げられるが、スポーツ紙五輪担当デスクは、
「フェンシングでは疑惑の判定など入る要素がない電気審判機を導入していることが大きい。白黒がハッキリつきますからね」
電気審判機が導入される前のフェンシングは、審判員による目視判定が行われていた。これは審判員の主観に依存する部分があり、正確性に欠けた。
この電子審判機は、剣先が相手の金属製のジャケットに触れることで回路が閉じ、ランプが光る。どちらが勝ったのかハッキリわかるという原理で、主観が入る余地はない。
確かに柔道でフェンシングと同じような電子審判機を導入することはできない。それでも、日進月歩で進化するAI技術を使えば、柔道の分野でも電子審判機のようなものを使った判定が可能になってくるだろう。前出のスポーツ紙五輪担当デスクも、
「MLBでもマイナーリーグではAI審判が導入されていますからね。疑惑の判定が多い競技での導入を考えていい時期かもしれない」
と今後を見据える。
とにかくスポーツは公平なジャッジをすることが大前提。世界の柔道界も、変革を求められる時期なのである。