「日本再発見」駐日ジョージア大使 ティムラズ・レジャバ/1430円・星海社新書
「X」(旧ツイッター)のフォロワー数が約34万人を誇り〝バズる大使〟として話題のティムラズ・レジャバ駐日ジョージア大使。幼少期から20年以上を日本で過ごした超日本通の大使が「日本再発見」を上梓した。日本人の知らない日本について熱く語り尽くす。
名越 大使といえば、19年10月に皇居で開かれた「即位礼正殿の儀」で着用した民族衣装が話題を呼びましたね。
大使 ジョージアの民族衣装「チョハ」を着て臨時代理大使として大統領と出席しました。その「チョハ」が映画「スター・ウォーズ」のジェダイの騎士や「風の谷のナウシカ」の衣装に似ていると、SNSでバズりました。
名越 X(旧ツイッター)で常に情報を発信してフォロワーの数は30万人と日本でも大変人気があります。昨年6月には、電車の優先席に自身が座った画像をツイートしたことを端緒に、大論争が起きました。
大使 画像をアップする前から「空いているなら座ってよい」「誰もいなくても優先席は空けておくべき」といった賛否両論が起こることは予想していました。しかし、想像をはるかに超えましたね。
名越 日本では同調圧力にストレスを感じる人は多いのですが、大使はどのようにお考えですか。
大使 空いている優先席に座ることにストレスを感じるのはハラスメントなので、見直すべきだと思います。あのツイートが同調圧力について考えてみるきっかけになれば、ありがたいです。
名越 大使の第一の故郷・ジョージアについてお聞きします。まだ日本での知名度はそんなに高くありませんが、ジョージアには知日派が多くいますよね。
大使 ジョージア人は日本にとても関心が高いです。それは日本が科学技術に優れ、経済的にも世界のトップクラスながら、古くからの伝統や文化を大事に守っているからだと思います。それが両立できている点に憧れがあるようです。
名越 ジョージアは格闘技が盛んです。大相撲では黒海、臥牙丸、栃ノ心が活躍しました。ラグビーも強くて、7月には日本との親善マッチで勝利しました。
大使 最近はサッカーも強くなって、初出場のヨーロッパ選手権でベスト16に進出できました。いつかサッカーでも日本と親善マッチができたらいいな、と思っています。
ゲスト:ティムラズ・レジャバ 駐日ジョージア大使。ジョージア出身。92年に来日し、その後ジョージア、日本、アメリカ、カナダで教育を受ける。11年9月に早稲田大学国際教養学部を卒業。12年4月キッコーマン(株)に入社。18年、ジョージア外務省に入省。19年に在日ジョージア大使館臨時代理大使に就任し、21年より特命全権大使としてジョージアの魅力を日本で発信している。
聞き手:名越健郎(なごし・けんろう)拓殖大学特任教授。1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社。モスクワ支局長、ワシントン支局長、外信部長などを経て退職。拓殖大学海外事情研究所教授を経て現職。ロシアに精通し、ロシア政治ウオッチャーとして活躍する。著書に「秘密資金の戦後政党史」(新潮選書)、「独裁者プーチン」(文春新書)など。