岸田文雄総理が次の自民党総裁選挙への不出馬を表明した8月14日から15日にかけて、Xでトレンドワード入りしたのが、同選挙への出馬が噂されるあの人、「#小泉進次郎」だった。
ネット上では父の小泉純一郎元総理、妻でキャスターの滝川クリステルをもしのぐ「イジられキャラ」として愛されている。次のような過去の発言が「進次郎構文」「進次郎ポエム」と称して、ネタにされているからだ。
〈政治に無関心であることは政治に無関心のままでいられる〉
〈プラスチックの原料って石油なんですよ。意外にこれ知られてないんです〉
進次郎ネタを投稿すればインプレッションを稼げるおかげで、トレンド入りしたXには、ざっと数えただけでも60以上の「進次郎なりすましアカウント」が存在する。ご丁寧に写真付きの近況報告をアップする偽アカウント、過去の進次郎構文を自動配信する「bot」のほか、本人になりすまして「中国共産党」や「金正恩」を持ち上げる「工作アカウント」まである。
これら「なりすましアカウント」には、本人と勘違いした数千人、数万人単位のフォロワーがついていたり、偽アカウントを指摘したユーザーをブロックしたり、閲覧制限をかけるアカウントも出てくる野放図状態と化している。
進次郎氏の公式サイトによれば、公式のSNSアカウントを作っているのはFacebookとInstagramのみ。Xに本人と確認済みの公式アカウントはない。
しかも地元の神奈川県横須賀市は海外からのサイバー攻撃に備えたサイバー防衛人災育成拠点になっており、サイバーセキュリティー対策は本人のライフワークでもある。
サイバーセキュリティーの重要性を説く進次郎氏になりすましたアカウントがSNS上に増殖し、ニセ情報を拡散してるのはいかがなものか。まして政権与党である自民党の総裁を狙う立場になれば、国家安全保障上の問題ともなる。特に横須賀では今年に入り、在日アメリカ軍横須賀基地に停泊中の原子力空母「ロナルド・レーガン」がドローンから盗撮される被害が相次いでいる。その盗撮画像はネット上に拡散され、日本のドローン対策、サイバー攻撃対策の遅れが指摘されている。
本人になりすました偽アカウントについて、自民党と進次郎氏に見解を求めたが、締め切りまでに回答はなかった。回答が届き次第、続報をアップする予定だ。
ちなみに進次郎構文の「最高傑作」と言われるのが、環境大臣時代、国連気候行動サミットで発した、
「今のままではいけないと思います。だからこそ日本は今のままではいけないと思っている」
という「迷言」だ。本人ははたして、自民党も国内ソーシャルメディアも、今のままにしておくつもりなのだろうか。
(那須優子)