メキシコ議会が初めて開いた未確認飛行物体(UFO)に関する公聴会で、2体の「宇宙人の遺体」とされるものが公開され、世界中の注目を浴びたのは昨年9月のことである。細長い頭部に3本指というその怪しげな風貌は、まさに地球外生命体を思わせるものだった。
ところが、この遺体を持ち込んだUFO研究家で地元ジャーナリストの主張もむなしく、科学的に分析した科学者らにより、「エイリアン」ではないと判明。巨大な地上絵で知られる南米ペルーにあるナスカから持ち出された「ミイラ」だったというのである。これが「残念なニュース」として世界を駆け巡ることになった。
ミイラ研究者によれば、ナスカの洞窟には現在もなお複数のミイラが眠っており、盗掘犯があとを絶たないというが、
「ペルー政府が空港や港などで密輸の取り締まりを強化しているようですが、結局はイタチごっこ。ミイラはコレクターの間で高値で取引されていることもあり、現在もペルーからフランスやスペイン、ロシアに数多く密輸されているといわれます」
そんな中、2017年にナスカの洞窟で発見されたミイラ6体のうち、1体が専門家による法医学的調査の結果、人間には見られない「直線型」の指紋があったことが明らかになった。「今度こそ、本物のエイリアンの死骸ではないか」と地元メディアが大々的に報道したのである。
「マリア」と名付けられたこのミイラは、アメリカ・コロラド州の元検察官で現在は弁護士のマクドウェル氏、UFO研究家でジャーナリストのモーサン氏、デンバー市の検視官、メリーランド州検視局の法医学人類学者、法歯科医で元コロラド大学教授らの専門家により編成されたチームが、ナスカの洞窟内で発見したものだった。
報道によれば、アメリカでは犯罪捜査のため、1902年から法執行機関が指紋パターン解析を導入しているが、皮膚紋理といわれる指紋は基本的に弓状紋(アーチ型)、蹄状紋(ループ型)、渦状紋(ホール型)のいずれかに分類されるのだという。ところがマリアの指先に刻まれた指紋は、そのいずれの指紋パターンにも当てはまらなかった。つまりは人間のものとは一致しなかったのである。マリアが人間ではなく、地球外生命体である可能性が強まったと、記事では伝えている。
ただし研究チームは、ペルーで発見される「エイリアンのミイラ」に偽物が多いことは重々承知の上。そのため、現段階では安易に「エイリアンのミイラと断定した」などというコメントは出しておらず、今後も分析を続けるとしている。
国立サン・ルイス・ゴンザガ大学(UNICA)の科学者らは「(マリアを含む)ナスカで発見されたミイラには、地球の進化の連鎖に属さないものが29%含まれている」との見解を明らかにしている。研究チームによる、さらなる分析結果が待たれる。
(ジョン・ドゥ)