ある意味で「水掛け論」だが…。
J1の第27節、8月17日のFC町田ゼルビアのプレースタイルがまたしても物議を醸している。
ホームの町田GIONスタジアムでジュビロ磐田と対戦した町田は、首位の貫録を見せつけ4-0で完勝した。その中で議論を呼んだのが後半10分過ぎの出来事だ。
磐田のDFハッサン・ヒルのハンドがVARとなり、結果はPK判定となったわけだが、キッカーとして準備するFW藤尾翔太が、抱えたボールに給水用のボトルからあからさまに水を掛ける様子が映し出された。
すると、高崎航地主審は別のボールに変更するよう指示。藤尾は「なんで?」とばかりに両手を広げて主審に詰め寄り、チームメイトも同様の反応を示したが、水をかけられたボールはピッチ外に出され、新たなボールでPKが行われた。
結果、藤尾はゴール右隅にきっちりと決め、町田はダメ押しの4点目をゲットしたわけだが、この「水かけ」論争が試合以上に盛り上がってしまったのだ。サッカーライターが説明する。
「ルールブックに水かけが禁止されている項目はありません。ですから、町田ファンが『水なんて関係ない』『なぜ交換する権利があるのか』と疑問の声を上げました。しかし雨で濡れた場合はともかく、あからさまに水をかけることは多少でもスリッピーになりキッカーに有利には働くことがあっても、キーパーには有利になりません。それに、本当にボトルに水以外のものが入ってる可能性はないのかと問われたら、どうでしょうか。主審は藤尾に対し『(水をかけることは)ルール的には問題ない』と言ったそうですが、町田は以前に同じ問題で炎上しましたし、あまりにあからさまな〝水かけ〟に主審が自主規制したと考えていいでしょうね」
ありかなしかで言えば、水掛け論にしかならない今回のボール交換騒動だが、おおむね支持されているのは主審の決断だ。当然、中には町田へのアンチ的な意味での支持があるが、一方で藤尾に対し「そんなことしなくてもきちんと決められる実力があるだろ」と、叱咤に近い意見が少なくない。加えて、ボール交換を指示されたあとの藤尾の抗議ポーズが「あまりにダサい」と、多くのサッカーファンから嘲笑されているのは確かだ。
そもそも、これほど見映えの悪い行為を始めたのは誰の指示なのか、誰の提案なのか…。黒田剛監督がこの騒動に関して何一つ言及しないことについて、サッカーファンはモヤモヤするばかりだろう。
(高木莉子)