渡辺明九段が藤井聡太王位(七冠)に挑戦する真夏の七番勝負「伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦」に「場外乱闘」が発生した。
対戦成績を藤井王位の2勝1敗で迎えた第4局は、この記事が公開される頃には決着がついていると思われるが、渡辺九段はこれまでに藤井七冠とタイトル戦で5回顔を合わせ、いずれも敗れている。
そんな中、子供記者の鋭いインタビューで攻め立てられる、渡辺九段の姿があった。
第4局初日の前日、8月18日に勝負の舞台となる佐賀県唐津市入りした渡辺九段はメディアの取材対応をこなしたが、その中には主催社・西日本新聞の子供記者がいた。
子供記者からの「負けた時の気持ちの切り替えは?」という質問に、「気分が乗るまで待つ」などと淡々と回答していた渡辺九段だったが、ここから「予想外の指し手」が渡辺九段を襲うことに。
「渡辺さんは130万円のコンピュータを買って、将棋の研究をしていると聞きました。勝負には役立っていますか」
これにはさすがの渡辺九段も思わず苦笑しつつ、
「厳しいな(笑)。ただ、使っていない場合との比較ができないので、難しいですね。値段が値段だけに、役立っていると思いたいです」
渡辺九段が劣勢になったとみるや、さらに畳みかける子供記者。
「今回の王位戦の対局で、藤井王位には役立ちそうですか」
もはや渡辺九段はしどろもどろになり、
「いや~、そろそろ新しいパソコンを買わないといけないかもしれません。ちょっと、役立ってるふうがないんで」
子供ならではのあまりにもストレートな質問に、周囲は大爆笑だった。この一連のやりとりは、まさに将棋ファンが聞きたかったものではなかろうか。さすが、子供記者。
このやり取りですっかりリラックスしたのか、王位戦での渡辺九段の差し手はいつも以上に軽やかだ。大長考こそあったものの、藤井七冠をリードする場面は多かった。
昨年の名人戦で藤井に敗れた雪辱を果たすことができるか。子供記者がじっくりと戦況を見守っている。
(ケン高田)