イタリアで開催される「第81回ベネチア国際映画祭」(現地時間8月28日~9月7日)に正式出品される北野武監督、ビートたけし主演の映画「Broken Rage」のポスタービジュアルと場面写真が解禁となり、全キャストが発表された。
本作はAmazon MGMスタジオ製作の Amazon Original映画。「ベネチア国際映画祭」に日本の動画配信作品として正式出品されるのは初の快挙で、現地時間9月6日午後5時(日本時間9月7日午前0時)に初上映される。動画配信サービス「Prime Video」で、来年(2025年)の世界配信が予定されているという。
製作のテーマは「暴力映画におけるお笑い」。前半では警察とヤクザの間で板ばさみになった殺し屋が生き残りをかけて奮闘する、裏社会を舞台に繰り広げられる骨太のクライムアクション。そして後半は同じ物語でありながら、前半と同じ物語をなぞるコメディータッチのセルフパロディーになっている
主人公の殺し屋・ねずみを、ビートたけしが演じる。ねずみを麻薬捜査の覆面捜査官として捜査協力させようとする刑事役に、浅野忠信と大森南朋。このほかに中村獅童、白竜、そして劇団ひとり、錦鯉・長谷川雅紀、馬場園梓(元アジアン)、空気階段・鈴木もぐら(空気階段)といった人気芸人が北野映画に初出演を果たしている。
「昨年公開された北野監督の映画『首』は製作費が15億円かかったのに、興行収入は11.6億円で製作費にも届かず。おまけに北野監督と配給のKADOKAWAの間で、ギャラの取り分などをめぐってかなり揉めたことが報じられました。もはや日本の映画会社は北野監督とタッグを組むことはないと思われていましたが、いきなり資本力が破格のパートナーとビジネスを展開。ベネチアという大舞台も用意されただけに、今作で『首』のリベンジを果たしたいところでしょう」(映画業界関係者)
これが現地でどんな評価を受けるかだが、不安要素がないわけではない。
「これまで北野監督の作品が一定のクオリティーを保つことができたのは、もともと北野監督が所属していたオフィス北野(現TAP)の森昌行元社長という名参謀がいたから。しかし『首』からは森氏が不在となったところ、いきなりクオリティーが下がった。なので今作も北野監督の思うがままにやっているのであれば、厳しいかもしれない」(映画担当記者)
少なくともおなじみのキャストで固めたこともあり、斬新さに大きな期待を持つのは難しいような…。
(高木光一)