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プレミアリーグに移籍した鎌田大地の攻撃力は「オーストリア人監督と師弟復活」で甦る

 欧州のサッカーシーズンが開幕した。新天地を求め、多くの日本人選手が移籍している。その中でクローズアップしたいのは、プレミアリーグのクリスタル・パレスに移籍した鎌田大地だ。

 昨季、フランクフルトからセリエAの名門ラツィオに移籍。開幕当初こそ先発出場していたが、徐々にベンチスタートが多くなり、日本代表メンバーからも外されるようになった。シーズン終盤になって監督が代わると、最終戦まで9試合連続で先発出場し、チームを勝たせる存在になった。とはいえ、本人としては満足のいくシーズンではなかった。

 そして今季、クリスタル・パレスに移籍。その大きな理由は、監督の存在だった。セリエAでは監督によって「構想外」と「主力選手」の両方を味わった経験から、そう決断したのだろう。

 クリスタル。パレスは今季から、オーストリア人のオリヴァー・グラスナー監督が就任した。グラスナー監督は過去、2シーズンにわたってフランクフルトの監督を務め、その時の中心選手が鎌田だった。特に2022年にはUEFAヨーロッパリーグで優勝し、鎌田はチーム最多の5ゴールを決めている。師弟関係の復活というべきか、再びタッグを組むのに時間はかからなかった。

 選手にとって、監督の存在は大きい。例えばASモナコでプレーする南野拓実。レッドブル・ザルツブルクで活躍し、名門リバプールに移籍したが結果を残せず、2022年にモナコに移籍した。それでも結果が出ず「南野はこのまま終わる」とまで言われた。それが昨季、ザルツブルク時代の監督であるアドルフ・フュッターが新指揮官に就任すると、南野が生きるポジションで使い、チーム2位の9ゴールを決めるまでに復活させた。

 鎌田のプレミアデビュー戦は右のシャドーのポジションで先発し、70分で交代。可もなく不可もなくのデキで、後半は消えていた。2戦目はベンチスタートで後半18分からボランチとして途中出場するも、その直後に2失点し、戦犯扱いされた。

 ほろ苦いデビューとなったものの、彼の持ち味である攻撃力はまだ発揮されていない。クリスタル・パレスの得点源は、昨季16ゴールを決めたジャンフィリップ・マテタ。マテタはオーバーエイジ枠でパリ五輪に出場していたため、合流が遅れた。鎌田、そして昨季11得点のエベレチ・エゼと3人揃って練習した時間は、開幕戦まで1週間に満たない。お互いの特徴を理解し、コンビネーションを高めるには時間が必要だ。

 それでも鎌田には、ラツィオ時代のような不安はないはず。それは指揮官の考えとサッカー哲学を最も理解しているのは自分だ、という自負があるためだ。グラスナー監督も鎌田のプレースタイルはもちろん、性格も理解しているから使いやすいはずだ。

 チームは開幕から2連敗。連敗が続けば、その矛先は新監督、新戦力に向けられる。まずは連敗をストップさせる活躍に期待したい。

(渡辺達也)

1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップ・アジア予選、アジアカップなど、数多くの大会を取材してきた。

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