解散を決めている岸田派(宏池会)は46人が所属し、数の力による影響力は大きい。岸田総理は表向き後継指名を行わない意向だが、派内から林芳正官房長官(63)と上川陽子外相(71)が出馬の意向を固めている。
「分裂選挙は避けられないので、岸田総理は誰がどっちを支持するのか、派内の議員を振り分けながら勝ち馬を探っています」(政治部記者)
9月27日に投開票する総裁選は、1回目の投票で過半数を得た候補者がいなければ、上位2人で決選投票が行われる。林氏か上川氏のどちらかが決選投票に進めば、岸田派は両陣営を合流させ、一枚岩になって勝利を目指すという戦略を描く。
さらに現職総理のもとには、「敵に回すのは得策ではない」と判断したのか、あのコバホークが急接近していた。
「8月21日に首相官邸で面会した際、経済・外交安全保障など『岸田路線』を引き継ぐことを報告。これには岸田総理もご満悦だったとか。出馬が噂される齋藤健経済産業相(65)も、元石破派で現在は無派閥ですが、岸田派議員とも距離が近く、『岸田連合』ができあがってきました。岸田総理は3年間の実績に誇りを持っていて、黙って総裁選の行方を見守るつもりはない。後ろ盾につかなかったキングメーカーの麻生氏のポジションを奪うため、秘かに執念を燃やしています」(政治部記者)
このままでは自民党の「看板」が変わるだけで、〝岸田院政〟の無間地獄が続きそうな気配だ。しかも野望はそれだけではなかった。山村氏はこう続ける。
「総理大臣に就任した2年目から急に権力欲を隠さず、周囲の意見に耳を貸さなくなりました。本来、権力欲をコントロールできない人にリーダーの資格はなく、次世代に譲ってフェイドアウトしてほしいのですが、党内では『次の次の総理もありますよ』という声も意外と多く、表舞台に戻ってくる可能性があります」
実際、岸田総理は9月上旬に韓国を訪問して尹錫悦大統領(63)と会談する方向で調整している。また、9月下旬には米ニューヨークで行われる国連総会に出席し、ジョー・バイデン米大統領(81)ら各国首脳との会談を検討。総裁選期間中に「外交の岸田」をアピールする狙いなのだ。
一体、誰のための政治なのか。岸田政権の完全リセットを夢見ていた国民は、いつまで茶番劇に付き合わされるのだろうか。