2026年北中米W杯アジア最終予選、9月シリーズ(5日・中国戦、10日・バーレーン戦)に挑む日本代表メンバー27名が発表された。
注目はパリ五輪で躍動したFW細谷真大(柏レイソル)、さらに代表初招集のDF高井幸大(川崎フロンターレ)、DF望月ヘンリー海輝(町田ゼルビア)の3人だろう。
高井は昨季J1デビューを果たしたばかりで、9月4日に20歳を迎える若手のホープ。パリ五輪で高い評価を得て、今回の初招集となった。武器は身長192センチの高さと、ビルドアップにもかかわれる攻撃的なパスセンスだ。
ただ、今回の招集は故障で選べない冨安健洋(アーセナル)、伊藤洋輝(バイエルン・ミュンヘン)の代役という見方が大きい。2人がケガから復帰すれば、高井がメンバーから外される可能性は高い。日本代表の森保一監督は高井の招集について、
「これから日本代表の戦力として、活動を通して、経験を積んでもらいながら、より良い選手に成長してもらいたい。まだ完成された選手ではないと思う」
即戦力というよりも、将来性を見据えての招集を匂わせている。
それは望月も同じだ。大型右サイドバックとして192センチの高さとスピードを武器に、町田の快進撃に貢献してきた。大卒(国士館大学)ルーキーで開幕当初はベンチスタートが多かったが、6月に入ってから先発出場を果たした。そのスピードは横浜F・マリノス戦において、スピードスター・宮市亮との対決で互角以上の結果を残した。ただ、高井同様、森保監督は望月の招集についても、
「高井と同じく、チーム活動を通してどれくらいできるかは、まだまだ見ていかないといけないこともあるが、自信を持ってチャレンジしてもらいたいし、完成した選手として招集したわけではない」
つまり、この2人については即戦力というよりも、将来性を考えて代表のサッカー、環境、どういうスケジュールで移動や試合が行われるのかについて、経験を積ませる目的なのだろう。
彼らに比べ、最終予選での出番がありそうなのが細谷だ。すでに代表デビューを果たし、ゴールも決めているが、1月のアジア杯では戦力といえるほどの結果を出せなかった。それでもパリ五輪ではフィジカルの強さを見せ、海外のDF相手に、対等に戦えることを証明した。
今季、Jリーグで4ゴールという数字は、ストライカーとして物足りない。それでも森保監督が招集したのは、それだけ期待されているからだ。
日本代表のワントップは、選手層が最も薄いポジション。上田綺世(フェイエノールト) 、小川航基(NECナイメヘン)とライバルはいるが、まだ固定されていない。中国戦、バーレーン戦と続く9月シリーズで、細谷の出番は必ずあるはず。そこで、スピードとフィジカルを生かした突破力でパリ五輪メンバーの先陣を切って、ポジションを奪う活躍を見せてほしい。
(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップ・アジア予選、アジアカップなど、数多くの大会を取材してきた。