前編で「おじいちゃんにしか見えない」と記したネプチューンの名倉潤だが、かつてはそれとはほど遠いキャラだった。「鬼名倉」として恐れられていたのだ。土田晃之によると、
「今でこそ潤さん、本当もう仏さんみたいになってるけど、若い頃はいちばんギラついてたから。なんなら、俺らがいちばん怖い先輩は、もう潤さんだったから」
有吉弘行も久々に思い出した。「24時間テレビ」の深夜帯で「しゃべくり007」から「有吉反省会」へバトンタッチする際、時間が押してゴタゴタしていた。そこで有吉はイラつく名倉を目撃する。
「久方ぶりに、あの頃の名倉潤の顔でしたね。『鬼名倉』の顔を見ましたよ」
そして有吉は「潤さん、超怖ぇ顔してた」と土田に報告している。
さらに鬼の名倉は「モテ名倉」でもあった。堀内健によると、相談に乗りがてら、女を口説き落としていたという。
「俺は本当に、潤ちゃんにこういう言葉が当てはまるなっていうのは『相談に乗って、上に乗っちゃう』。俺も昔は一緒に飲みに行ったりして、こっそり聞いていると、『男ってなぁ、ホンマはなぁ、弱いんやでぇ』って、そういうところから入ってくるの。ヘタしたら、もうその時点で女は号泣、みたいな」
ナインティナインの矢部浩之も、モテる名倉について振り返る。ネプチューンがブレイクする前、ご飯を食べに行った際のことだ。2軒目の店へ行こうとしていると、当時の名倉の彼女が現われた。なかなか帰ってこない名倉にスネて、店にやって来たのだった。
「『まだ帰ってこない』って。『もうえぇで名倉。俺らだけで行くから』って。そしたら『いや大丈夫や。ちょっと待っといて』って言うて、西麻布の交差点のアイスクリーム屋の前で『みんな待ってるやんか。これ行って家に帰るから。それから仲良くしようや』って言って帰したのよ。それで帰す前にチュッとキスや。ほんなら彼女が帰るのよ。『セクシーやなぁ、名倉潤』って思ったわ」
モテモテの名倉だが、ホントに役立つのかわからないアドバイスをすることも多かったようだ。
「『女が髪をイジり始めたらイケるから。それで、いざそういう時になったら、こうキスするんや』って言って、肘にキスするの教えてくれて。真剣によ」
そう回想するホリケンは、どうにも納得がいっていない。
男の生き方として、こんなことも言っていたのだと。
「健、男っていうのはずっと下を向いてるんやで。いつカネが落ちてるかもしれへんやん」
ホリケンはギャグか本気かわからず困惑したが、
「言うこと聞いて、明け方に本当に5000円拾ったことあるの」
とニンマリするのだった。
(坂下ブーラン)
1969年生まれのテレビディレクター。東京都出身。専門学校卒業後、長寿バラエティー番組のADを経て、高視聴率ドキュメントバラエティーの演出を担当。そのほか深夜番組、BS番組の企画制作などなど。現在、某アイドルグループのYouTube動画を制作、視聴回数の爆発を目指して奮闘中。