どうやら移籍は大成功だったようである。ブルージェイズからアストロズにトレードされた菊池雄星の株が爆上がりなのだ。
菊池は現地時間8月31日に、本拠地でのロイヤルズ戦で7回5安打1失点と好投し、今季7勝目を挙げた。この試合では移籍後最多の毎回12三振を奪い、アストロズでは負けなしの3連勝。MLB公式Xで「熟練のパフォーマンス」と絶賛されている。
アストロズはブルージェイズへ若手有望株3選手を放出して菊池を獲得したが、当初は懐疑的な声が多く聞かれた。だが、それを覆すフル回転の活躍。今オフには莫大なカネを手にする「FA成金」になること必至だという。
長年メジャーリーグを取材するスポーツライターは、菊池を取り巻く状況について次のように語る。
「オフにFAとなるシーズンで活躍するのが、次の契約を有利にしますからね」
事実、米スポーツメディアの中には、今オフのFA市場に出る選手として菊池がトップ20入りしている、と報道している。
通常、FA市場では野手が注目され、契約総額が高くなる傾向が強い。ところがこのオフは、オリオールズのコービン・バーンズ、ブレーブスのマックス・フリード、ジャイアンツのブレイク・スネル、ドジャースのジャック・フラハティ、レンジャーズのマックス・シャーザーなどが上位に名前を連ねている。そのメンバーに混じっているだけに、菊池も大型契約が期待されるのだ。前出のスポーツライターは、
「菊池は3年総額3600万ドル(約52億7000万円)で契約を結んでおり、今季の年俸は1000万ドル(約14億6500万円)だと聞いています。このままの活躍が続けば、100億円規模の契約になる可能性が出てきます」
菊池の代理人は「吸血鬼」の異名を取るスコット・ボラス氏だけに、好成績を盾に破格の条件を求めて暗躍するだろう。スポーツ紙メジャーリーグ担当デスクも、こう今後を見据える。
「最近、ボラス氏が抱えている選手の成績がいまひとつで、代理人としての評価が下がっている。ここで菊池の高条件を引き出すことが、ボラス氏にも大切になってくるわけです」
昨オフはドジャースと大谷翔平のプロスポーツ史上最高総額の10年契約、そして山本由伸の投手史上最高総額の12年契約がFA戦線の主役だった。今オフは菊池がFA戦線で大きな存在感を発揮しそうである。
(阿部勝彦)