やはり、虎将の予言は当たっていた。
6月27日に甲子園球場で行われた中日戦で、阪神はここまで6試合連続で2得点以下の湿った打線が復調。12試合ぶりの2ケタ安打を記録し、8-1で快勝した。しかも8得点は、5月16日以来42日ぶりという「快挙」だった。
6月25日の中日3連戦の初戦で完封負けを喫した後、岡田彰布監督は「今までの0とはちょっと違う」と、前向きなコメントを放っている。
その根拠は、試合前の打撃練習にあった。その日、打撃ケージ内に引っかけたり逆方向の内野スタンドへのファウルといった〝打ち損じ〟がほとんどなかったのだ。このちょっとした変化で、岡田監督は打線復活の兆候を感じ取ったわけだ。
そして、26日の延長12回引き分け直後のこの日、岡田監督の用兵がズバリと的中する。今シーズン、初めて近本光司をスタメンから外すと、代わりに1番センターで起用したのは島田海吏。この島田が2安打1四球と大当たりして、勝利に大貢献した。
島田はここまで代走や守備固めでの出場が多く、ヒットもしばらく出ていなかったが、監督の抜擢に見事に応えた形だ。在阪のスポーツ紙デスクがうなずく。
「島田の活躍には驚きましたが、阪神は日本一となった昨年、岡田監督が動いてスタメンに起用した選手が、ことごとく結果を出すという『岡田マジック』がさく裂しまくりました。それを思い出しましたね。打線復活とともに、この〝岡田の勘〟の精度が上がれば、同時に勝率がグングン上がってくることは間違いない」
負ければ貯金ゼロとなる試合を快勝して、首位争いにとどまった阪神。投手陣は3試合連続1失点と好調を維持している。ここで岡田監督の読み通りに打線が上昇すれば、7月は昨年同様の「無双月間」となりそうだが…。
(石見剣)