藤井聡太王座に永瀬拓矢九段が挑む「第72期王座戦」5番勝負の第1局(神奈川県秦野市「元湯陣屋」)は藤井の先勝で、9月18日の第2局(愛知県名古屋市「名古屋マリオットアソシオホテル」)へと進む。
両者は昨年の王座戦で顔を合わせているが、タイトルホルダーの永瀬が先勝したものの、その後に3連敗。藤井に屈辱の全冠制覇を許している。永瀬としては、なんとしてもリベンジを果たしたいところだ。
両者の対戦成績はこれで16勝7敗と藤井が大きく勝ち越しており、下馬評では藤井有利の声が圧倒的だが、実は将棋関係者から「大逆転劇が起きる可能性がある」という声が出ているのだ。
昨年の王座戦では、第2局以降の3局で永瀬優勢の局面があり、特に第3局と第4局は勝勢の局面から痛恨の逆転負け。最終局は藤井玉に詰みがあり、それを見逃した永瀬の身もだえする姿が印象的だった。
藤井と永瀬は2017年から練習将棋を続けており、その対局はかなりの数に上る。しかもここ最近はほぼ互角の勝負を繰り広げており、決して永瀬のパフォーマンスが一方的に藤井に劣るわけではない。お互いの手の内を知り尽くしており、ここ最近、不調が見られる藤井がピンチに陥ることも想定される。
9月3日時点で、棋士の強さを表したレーティングは、藤井が「2090」で全棋士中トップ。永瀬は「1903」で、叡王戦で藤井を破った伊藤匠の「1906」に迫る3位に位置している。永瀬が無冠であることがむしろ、不思議でもあるのだ。
挑戦者決定戦で羽生善治九段を破った永瀬。その勢いでどこまで藤井に迫れるか。「運命のリベンジマッチ」の行方に、将棋ファンの熱い視線が注がれている。
(ケン高田)