7月スタートの夏ドラマが最終盤を迎え、視聴率やネット視聴数が出揃った。
初回2時間スペシャルの平均世帯視聴率が7.8%と、シリーズ最低となってしまったのは、沢口靖子主演「科捜研の女 season24」(テレビ朝日系)。同シリーズが打ち切りにならないか心配していたオールド視聴者層は安心してほしい。「科捜研の女」は今クール、ネット配信ランキングではベスト20前後をキープしていたのだ。
同ドラマの災難は、木曜20時放送から紆余曲折を経て、現在の水曜21時に放送時間が移ったことにある。「科捜研の女」と同じ検査機材を扱っている工科高校の教師によると、
「今の時間帯に移ってからマニアックかつ科学の最先端を扱うようになり、理系の視聴者にとっては面白くなってきたものの、シーズン当初から見てきた中高年の視聴者はついていけない。ただでさえ週半ばの21時という、夕飯でお腹がいっぱいになって疲れと眠気がどっと襲ってきたところに、レギュラー陣が難しい専門用語を話すものだから、子守唄を聞いているようなものでしょう」
制作陣は「寝落ち」する中高年視聴者に代わり、ネット視聴世代を意識したのだろう。25周年の今シーズンから、科学知識のない会計係に加藤諒、不器用な新人警察官役に鈴木福と、レギュラーと準レギュラーの若返りを図り、その結果、総合ランキングでベスト50中、長寿ドラマらしい25位以上の「ユルイ定位置」キープに成功した。
「科捜研の女」よりも懸念されるのが、旧ジャニーズ勢の苦戦である。若い世代が視聴するドラマのネット配信サービスで、今期のベスト20に入っているのは、体調不良で一時は収録をストップしていた、Snow Man・目黒蓮主演の「海のはじまり」(フジテレビ系)と、木村拓哉の過去のドラマのみ。
今クール、櫻井翔主演の「笑うマトリョーシカ」(TBS系)、山田涼介主演の「ビリオン×スクール」(フジテレビ系)はランキング下位に沈んでいる。テレビ局関係者によると
「旧ジャニーズ事務所のタレントが相次いで独立する中、ジャニヲタの連帯感が急失速しています。旧ジャニーズのタレントを出しさえすれば視聴率が数パーセントアップする『神話』は過去のもの。ジャニヲタが自動的に見るという視聴行動がなくなり、むしろネット上で推しをめぐって罵り合う、残念な傾向にあります。話題性のあるドラマや番組が、ネット配信で上位にランクインする傾向にあります」
10月開始の秋クールでは、旧ジャニーズタレントの主演ドラマ3本はいずれも深夜枠。第三者委員会による性加害検証会見からわずか1年で、ドラマ勢力図は潮目が変わってしまった。
(那須優子)