早くも争奪戦が勃発か。巨人の大城卓三が9月12日に、国内フリーエージェント(FA)権を取得した。
「自分に携わってくれた方に、まずは感謝したいと思います」
大城はそう語ったが、FA権の行使については、
「シーズン中で大事な時期ですし、優勝争いしている中なので」
と明言しなかった。
大城は2017年のドラフトで3位に指名されて巨人に入団。昨季は自己最多の134試合に出場して打率2割8分1厘、16本塁打をマークした。全ての打撃項目でキャリアハイを更新し、3年ぶりにベストナインに輝いている。年俸は推定1億3000万円で、人的補償が発生するBランクとみられるが、これが獲得の判断材料にどのように影響するか。
巨人の今季のスタメンマスクの回数は大城28、小林誠司33、岸田行倫66(9月12日終了時点)。半数以上の試合で岸田がマスクをかぶっており、大城が「正捕手」にこだわるなら、他球団への移籍を考えるはずだ。
巨人にしてみれば、もし大城が出て行くとなると、岸田と小林に頼らざるをえなくなる。引き留めには少なくとも2億円の複数年契約が必要になるのではないか。
もっとも、大城のFA権獲得はシーズン前から予想されていたことであり、もし巨人が大城を正捕手として考えていたのなら昨年の契約で、単年ではなく複数年を提示していてもおかしくはない。
巨人としては打撃力のある大城を手放したくはないだろうが、来季32歳という年齢を考えると、複数年契約は躊躇される。好条件を提示するチームがあれば、移籍はやむなしかもしれない。
となると気になるのは移籍先だが、西武や楽天、阪神などは捕手層が薄く、大城の存在は魅力的なはずだ。またソフトバンクは、正捕手の甲斐拓也が国内FA権を取得し、さらに昨オフには単年契約を結んでいるため、その動向いかんでは有力な候補となるだろう。
元ロッテで野球評論家の里崎智也氏は、9月12日の広島×巨人戦を振り返り、
「ストレートを投げたことで堂林を幻惑させ、今度はストレートを投げないことで末包を混乱させた。大勝負での勝負勘というものを見させてもらった」
と大城の配球を大絶賛している。
爆上がりする大城の評価に、他球団の編成がどう動くか。オフの動向を注視したい。
(ケン高田)