こんにちは、高木真備です。
前回は猫の保護現場に立ち会って感じたことを書きましたが、今回はそれを踏まえて自分に何ができるのか、動き始めたお話です。
怯えて震えている保護された猫を見て私が涙していた時に、団体さんが仰ったのが、
「この子を幸せにしてあげるというのは大切なこと。だけど手放す人がいる限り、救っても救ってもこの問題は終わらないんだよね…」
この言葉を聞いて、ハッとしました。 この時に教えて頂いたたとえ話があるので、ご紹介したいと思います。
まずは蛇口とコップを想像してみてください。蛇口をひねると水がコップの中に入りますが、満杯になると溢れてしまいますよね。その様子を【蛇口を捻る人⇒猫を手放す人、水⇒猫、コップ⇒保護活動をする人】にたとえて考えてみると…。
手放す人をストップさせないと、猫たちは行き場がなくなって溢れていくばかり。どんなに救おうと活動してても救いきれない、終わりがない、ということです。
私は当初、コップで水を受け止めることばかりを考えていました。 でも前回に書きましたが、そもそも「保護される」という辛い経験を猫たちがしなくてすむ未来を作るには「蛇口を止める方法」の発信がとても重要なんだと、考え方が変わりました。では、どう発信したら伝わるのか。
今は子供がいる家庭より、ペットを飼っている家庭の方が多いといわれています。でも一般の家庭からも保護されていることを知る機会はなかなかないのでは、と思いました。実際に私も犬を10年以上飼っていましたが、全く知らなくて。まずは多くの方に知ってもらえる機会を作りたいと考えました。
そこで思いついたのが、イベントの開催です。今までも動物愛護イベントは全国で開催されていましたが、さらに広い層の方に参加して頂くために「全く動物と関係ないジャンルとコラボ」したらどうかな、と。アニメのイベントや電車の中、夏祭りやスーパーなど…全国どんな場所にも、ご自宅でペットを飼っている方や今後その予定がある方はいらっしゃるはずなので、もう全ての場所ですね(笑)。
例えば、私にとっていちばん身近だった競輪場。お客さんや選手はもちろん、場内の職員さんの中にも、上記のような方が必ず1人はいらっしゃると思います。
レース開催日に動物についてお伝えするイベントができたら「動物愛護のイベント単体」で実施する時とはまた違った層の方に伝えられるチャンスになるかな、と。
まずは自分にとって身近なところからスタートしようと思い、競輪場でのイベント実施に向けて具体的に動き始めました。
最初は競輪場でどんなイベントが必要で、実際に何ができるのか、リサーチすることに。私が選手だった頃に聞いた「川崎競輪場で子猫が産まれたので、里親さんを探している」という話を思い出したので、川崎競輪へ向かいました。
TNR(捕獲器などで野良猫を捕獲し、不妊・去勢手術をして元の場所に戻す)や地域猫についても勉強中だったので、まずは猫たちが活動し始めるであろう夕方以降を狙って、レース開催日の競輪場内と周辺の公園を見に行ったのです。知り合いの保護団体さんも協力してくださり、外にいる猫のことや、見るべきポイントを説明しながら一緒に歩いてくださったので、貴重な経験になりました。
次回は現地リサーチでどんなことが分かり、そこからどんな行動に移したのかを書いてみたいと思います!
(高木真備)
たかぎ・まきび/1994年8月17日生まれ。2014年に競輪選手としてデビューし、2021年ガールズグランプリで優勝して年間女王になる。2022年に競輪選手を引退し、その後は犬猫の保護活動に携わっている。9月22日にサテライト宮城で開催される保護猫譲渡会に参加(10:00~15:00)。チャリティーバザーやわんにゃんクイズ大会も行われる。翌9月23日に開催される保護犬・保護猫譲渡会(東京・京橋エドグラン/14:00~)の前には「川島なお美動物愛護賞」贈賞式があり、これに登壇予定。