社会

「さくら耳」の猫を見かけたらそれは「避妊去勢手術済み」のしるし/ケイリン女王・高木真備の「保護ねこ生活」

 こんにちは! 高木真備です。

 前回に引き続き、イベントで何ができるのか、現地リサーチしたお話を書いていきたいと思います。

 競輪場周辺を見に行くと、すぐに数匹の猫たちを発見。そこでまずチェックしたのは「耳」です。耳の一部分がカットされている猫は避妊去勢手術が済んでいて、カットの形が桜の花びらに似ていることから「さくら耳」と呼んだりします。 これは地域の状況を知るためのヒントとなるので、外で暮らす猫を見かけた時には「さくら耳」かどうか、観察するようにしています。

 ではここから「さくら耳」について、もう少し詳しく説明させて下さい。猫は繁殖力がとても強く、産まれた子猫たちも繁殖を繰り返していくので、あっという間に数が増えていくのはご存知でしょうか。

 産まれた子猫たちの行き場がない場合、残念ながら殺処分になっているのが現状です。犬・猫・子猫の殺処分数を比べると、全体の半数以上が子猫というデータもあって、毎年多くの子猫が殺処分されています。

 そこでこの状況を変えようと、全国で広がっているのが「地域猫活動」または「TNR活動」。外にいる猫を保護して避妊去勢手術をし、また外の環境に戻してあげる、というものです。

 手術が完了した子は耳先を少しカットして「さくら耳」にします。このカットは再びその子を保護してしまわないようにするための目印になっていて、猫たちの負担を軽減するのに役立っています(麻酔中にカットするので、痛みはないそうです)。

 この活動により殺処分対象になる子猫が増える心配がなくなるので、「さくら耳」の猫たちは地域みんなで見守っていきましょう、と全国で広がっているのです。

 上記の活動を聞いて、皆さんはどう感じましたか。避妊去勢手術をするのは人間のエゴではないか、耳をカットするのは可哀想…。このような意見があることを知って、私は正解が分からなくなりました。自分なりに考えた答えをこちらに書いてみるので、よかったら皆さんも一緒に考えて頂けると嬉しいです!

 猫たちの気持ちをいろいろ考えてみましたが、実際には喋れないのでどうしてあげるのがベストか、正解は誰にも分からないのでは、と思いました。だからこそ様々な考えや意見が出てくるし、時にはその意見が割れて激しく議論する場面を見かけます。

 でもこの世界はどうしても、人間中心に回っている。住む場所も食べ物も全部そうで、それは変えられないと思います。

 これが猫中心の世界だったら? 子猫が増えても殺処分にはならないし、むしろ人間が邪魔になると思います。猫が住むところに家は建てられないし、乗り物だってNG。でも今は人間中心の世界だから、手に負えなくなった小さな命は殺処分になってしまうんですよね。

 とはいっても、産まれた全ての子猫たちを野放しにしていたら、私たちの暮らしが大変なことになるのも分かります。今の生活環境は人間中心だから成り立っているんだな、と。残念ですが、長い歴史の中で作られた今の世界を「猫だけ」が中心のものにはできないんだと思いました。

 であれば、今の環境でもできる限り猫と共存できて、命を無駄にする行為(殺処分)を限りなく減らすためにできることをやるしかない。

 そのひとつの手段として「さくら耳」にする地域猫活動=避妊去勢手術は100%、猫ファーストではないかもしれないけど、今できる最大限の必要な活動なのかなと感じました。

 様々な意見があることは承知です。でも実際に外にいる猫たちのリサーチをしてみたことで、自分なりの考えを持つことができてよかったです。

 猫はもちろん、猫好きな人も嫌いな人も、みんなが幸せに共存できる環境にできたらいいなと、改めて感じた出来事でした。

 少し逸れてしまいましたが、次回は現地リサーチを踏まえて、具体的にイベントの内容を考え始めたことについて書いてみたいと思います!

(高木真備)

たかぎ・まきび/1994年8月17日生まれ。2014年に競輪選手としてデビューし、2021年ガールズグランプリで優勝して年間女王になる。2022年に競輪選手を引退し、その後は犬猫の保護活動に携わっている。

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