高市早苗が大ピンチである。安倍政権下、放送法の政治的公平性について首相官邸と総務省側とのやりとりを記した内部文書が登場したが、同省が作成した行政文書であると認め、省内で共有されていたことが明らかになったのだ。
「これは捏造されたものです。もし本物であれば議員を辞職します」
まるで森友事件における安倍晋三元総理の答弁のように大見得を切ったのは、当時総務相だった高市氏本人だ。
ただ、文書の正確性はまだ確認されておらず、高市氏は「私に対して議員辞職を迫るのであれば、文書が完全に正確なものであると相手様も立証されなければならない」と語っている。この件を追及して辞職を迫る、立憲民主党の小西洋之参院議員に向けられたものだ。
「高市さんは負けるワケがないと、高をくくっていると思います。今まで強気、強気でやって来たワケですから、それいけドンドンとばかり、言葉が溢れたんじゃないでしょうか」(全国紙政治部記者)
高市氏が強く抗議したことで今でも語り継がれているのが、2015年4月の「週刊ポストと」のバトルであろう。
2015年4月、「週刊ポスト」は「政府系金融機関の日本政策金融公庫から、三重県鈴鹿市の農業法人に合計2億2千万円の融資が行われた際に、1億円の使途不明金があることが発覚した。高市の実弟である秘書官が関わっていた疑いがある」と報じたのである。
記事の内容に対し、高市氏は猛反論を展開。
「見出しも中身もあまりに悪質で、ひどい捏造記事だ。融資には高市事務所も秘書官も私も一切、関与していない、農業法人の経営者との関係は全くなく、面識はない」
さらには、こうも言った。
「この記事は、私や秘書官の信用を傷つけたということだけにとどまらず、安倍内閣全体のイメージを損ねる可能性がある。実弟が週刊誌側を相手取った民事訴訟や刑事告訴を検討している」
当初、報道した側の「週刊ポスト」も強気で、高市氏と真っ向対峙する姿勢を見せていた。それが9月になって「高市氏の秘書官が1億円融資の口利きに関与したとの誤解を読者に与えたことについて、高市氏及び関係者の皆様にお詫びします」と謝罪記事を掲載。なんだこの決着は…と読者は首を捻ったものだ。
それを受けて、他の週刊誌にも「高市氏の取材には細心の注意を払え。証拠が確実ではない記事は掲載しない」とする注意喚起が広まったのである。これによって「触らぬ神に祟りなし」と、記者たちの間には、高市氏に関する取材を控える風潮が出た。
「高市氏にはがゆい思いを抱いている記者が多かったのは事実でしょう。今回のことで、溜飲が下がったのでは」(前出・政治部記者)
文書は本当に捏造されたものなのか。あるいは公言したように、高市氏は議員の職を辞するのか。いや、巧みな弁明を展開して、居座るのか。俄然、面白くなってきたのである。