このまま僅差での優勝争いが続けば、岡田阪神にミラクルが起きる。セ・リーグ優勝争いは130試合が過ぎてもデッドヒートが続いている。
「巨人目線で言えば、9月20日からの4試合が天王山となりそう。ビジターでの広島、阪神との2連戦となります。山崎伊織がファームに降格したため、20日の先発投手が誰になるのかもポイントとなりますし、23日の阪神戦で、16日に好投した赤星優志をもう一度、先発させるのかどうか。あるいは中4日でグリフィンが登板する、との情報も」(スポーツ紙記者)
ここにきて、広島が後退。巨人と阪神の直接対決が明暗を分けそうな情勢だ。仮に巨人が残り12試合を勝率5割でペナントレースを終了した場合、阪神がそれを上回るには8勝2敗でフィニッシュしなければ、勝率で上回ることができない。また、巨人と同率で終了するにも7勝3敗と、厳しい戦いが続く。しかし「ルール」は阪神に味方したようだ。
プロ野球の優勝は「勝率」で決まる。勝利で並んだ場合は「勝利数」が多い方が優勝となるが、それでも当該チームの対戦成績で決まる。巨人と阪神の対戦成績はここまで、11勝11敗1分だ。
巨人と阪神の優勝争いは勝率、勝利数、対戦成績で決まらない可能性がある。その場合はどうなるのか。2022年以降、「リーグ内勝率」で計算し直すことになっているのだ。つまり両チームの「セ・パ交流戦の成績」を引いて、勝率を計算し直すことになる。
今年の両チームのセ・パ交流戦の成績は、巨人8勝9敗1分。阪神は7勝11敗だった。前述の通り、巨人が残り試合を勝率5割でフィニッシュした場合、阪神は7勝3敗で勝ち越せば、76勝61敗6分で並ぶ。ここからセ・パ交流戦の成績を引くと、巨人は68勝52敗5分、阪神は69勝50敗6分にそれぞれ変わる。この時、巨人の勝率は5割6分7厘となり、阪神は5割7分5厘。阪神がルール上で逆転優勝となり、アレンパ達成だ。
「リーグ内勝率」で優勝が決まればもちろん、史上初。岡田彰布監督は「交流戦で負けておいてよかった~」と思うかもしれない。
(飯山満/スポーツライター)