ついに「その時」がきた。阪神に負けて再び最下位に転落した中日の立浪和義監督が9月18日の試合後、今季限りでの退任を表明したのだ。
試合後の記者会見で、その理由について、
「このタイミングでどうかと思うが…3年目の今年、結果を出せなかった。監督が責任を取るのは当然」
それでも続投を望む中日ファンは少なくないが、このまま最下位で今季を終えれば、球団史上初の3年連続となるため、「退任やむなし」の声が日に日に高まっていた。
そんな中、意外なところから立浪監督への「感謝の声」が。「日本ハムが強くなったのは立浪監督のおかげ」「立浪監督、アリエルありがとう!」などと、日本ハムファンが一斉に謝辞を送っているのだ。
熱心なプロ野球ファンはここで気付いたことだろう。今季ここまでチーム3位となる13本塁打の長打力で活躍しているアリエル・マルティネスは、2022年オフに立浪監督が戦力外にしたことで、日本ハムが獲得した選手。
また、今季33試合に登板して5勝7ホールド、防御率1.98の山本拓実と、打線の主軸として117試合に出場し打率2割6分4厘、11本塁打、48打点をマークする郡司裕也の2人は、ともに中日からトレード移籍した。チームが変わったことで才能が開花するのは決して珍しいわけではないが、日本ハムファンにとっては、これほどの能力のある選手をトレード要員にしてくれた立浪監督をありがたく思うのは当然なのだろう。
極め付きは清宮幸太郎だ。キャンプでは敵将の立浪監督から「割れを作れ」と直接指導を受けて、今季ようやくブレイク。立浪監督はもともと清宮を高く評価しており、
「インパクトからのフォロースルーは文句ない。足を広げて重心を低くして、バットを振っては戻す、という基礎的な練習を繰り返してほしい」
とアドバイスを送っている。清宮もチームの垣根を越えて「立浪塾」に入門するほど、全幅の信頼を寄せている。眠れる獅子を叩き起こしたのは立浪監督…と言っても過言ではないだろう。
立浪監督の今後の動向は明らかになっていないが、日本ハムファンは、北の大地での「ヘッドコーチ」や「打撃コーチ」への就任を期待しているかもしれない。
(ケン高田)