百歩譲ってこれがまだ一介のペエペエ議員であれば「プラスチックの原料って石油なんですよ。意外にこれ、知られてないんです」と無知をひけらかそうが、「自由があるのが自由民主党 自由がないのが民主党」とウケないギャグで場をシラケさせても、目くじらを立てることはないだろう。
だが環境相時代には「気候変動のような大きな問題は楽しくクールで、セクシーに取り組むべき」とまるで意味不明な言葉を放ったかと思えば、政府が定めた2030年度の温室効果ガス排出を46%(2013年度比)削減目標には「くっきりした姿が見えているわけではないけど、おぼろげに浮かんできたんです。46という数字が」などと予言者じみた物言い。そんな「ポエム大臣」と揶揄された小泉進次郎氏が次期総理大臣候補の筆頭に持ち上げられているとなれば、話は違ってくる。
過去最多の9人が立候補している自民党総裁選。おそらく1回目の投票で誰かが過半数を得るのは難しいとされ、決選投票となる上位2人に小泉氏が選ばれるのではないか、との予測がある。その理由を政治部記者は、
「議員票がばらけているため、党員票が大きなウェイトを占めます。その場合、無派閥議員を中心とする『菅グループ』が小泉氏に付くことで有利になる確率が高い」
とはいえ、小泉氏が総理総裁になった場合、暴言失言により世論の反感を買うまでに、はたしてどれほどの時間を要するのか。実は数日前にも小泉氏がかつて言い放ったとされる「年金受給年齢は80歳からでいい」がSNS上に拡散。「増税メガネ」ならぬ「増税王子」としてトレンド入りした。前出の政治部記者によれば、
「小泉氏によるこの発言は、2018年10月15日の『国策研究懇談会』での講演を書き起こしたもので、同氏のオフィシャルサイトに公開されています。講演のタイトルは『平成のうちにやるべきこと~人生100年時代の社会保障と国会改革』。小泉氏は講演で年金受給開始年齢に触れ『受給開始年齢は80歳でもいいのではないか、と考えている。60歳から80歳までの間であれば、受給開始年齢は自分たちで決められる、という考え方である』と述べました。現在75歳まで繰り下げられる受給開始年齢を80歳まで繰り下げられるように、選択肢を広げようというと発言しています。現状、日本人の『健康寿命』は男性72.7歳、女性は75.4歳ですからね。年金の受給開始年齢を繰り下げるというのは、高齢者に『死ぬまで働き続けて下さい』とい言っているのと同じこと。SNS上には今もなお『増税王子には庶民の生活苦など分かるはずもない』といった怒りの声が広がっています」
健康であればまだしも、世の中には働きたくても働けない高齢者は多い。小泉氏はそんな彼らの声をどう聞くのだろうか。
(山川敦司)