昼の情報番組「情報ライブ ミヤネ屋」(日本テレビ系)に出演した元外務大臣の田中真紀子氏は、乱立する総裁選立候補者を「使いものにならない」と斬り捨てた。その際、名前こそ出さなかったものの「私は1人いると思う」 と含みを持たせたのが、林芳正前官房長官のことだった。真紀子氏いわく、
「なりたい、なってみたい、と。都知事選や地方の首長選挙じゃない。内閣総理大臣が何かということが全くわかっていない。あの方は賢いし経験もあるし、育ちもいいし。ここまで自民党の中でイジメ抜かれて、参議院でぐうぐう、ぐうぐうと安倍さんだか福田さんだかに押されて、耐えてきた」
真紀子氏がそう絶賛した林氏は東京大学法学部卒業後、三井物産に入社する。その後、ハーバード大学政治学大学院特別研究生から同大学のケネディ行政大学院に入学。修了後に帰国し、父・義郎氏の政策担当秘書を務めた後、1995年に初当選したバリバリのエリートだ。
その後は参院議員4期、防衛大臣や農林水産大臣、文部科学大臣などを歴任するなど、政治家としての実績と経験が十二分にあることは間違いなかろう。政治部記者が言う。
「自民党内でも政策通として知られる一方、安倍政権下では政治資金問題で辞任した西川公也氏の後任として農水大臣に起用されました。加計学園獣医学部新設への安倍氏の関与が取り沙汰された最中には、学部新設を認可する文科大臣に任命。派閥パーティーの裏金問題をめぐり、岸田政権が窮地に立たされた昨年12月には官房長官に抜擢されたことで『政界の119番』と言われました。ただ、岸田首相の党内での求心力が低下した今、岸田派ナンバー2で岸田氏の側近中の側近である林氏の存在感も、同時に薄れていきました。それがそのまま次期総裁候補としての支持率低迷に反映されているようです」
そんな実績・経験ともに豊富なサラブレッドに、降って湧いたようなスキャンダルが勃発したことがある。2018年4月に「週刊文春」が報じた、公用車を利用した「キャバクラヨガ通い」だった。
それによれば、林氏は公用車で東京・恵比寿にあるヨガスタジオに到着後、2時間滞在。待たせていた公用車に乗り込んだというのだが、なんでもこの店は女性がマンツーマンでヨガを指導し、オイルマッサージもする店。料金は男性が1時間1万1000円に対し、女性は3000円だ。
林氏は同誌の「毎週のように?」という直撃に対し、
「あの~、定期的には。まぁちょっと、予定の空いた時間に、そういうところに」
そして会見した林氏は、次のように釈明をしている。
「公私のけじめはしっかりつけるべきだった。国会が緊迫する中で混乱を招き、お詫びする」
公用車使用については謝罪したが、下半身サービスを受けた疑惑については、
「そういう店ではなく、通常のヨガスタジオ」
林氏と安倍首相とが長年の間、シノギを削る関係にあったことから、このスキャンダルは官邸から流れたらしい、との情報が飛び交い、政治部記者たちが裏取りに奔走することになったのである。
(山川敦司)