芝1200メートルで7戦6勝(2着1回)、中山競馬場で3戦3勝。そして鞍上はオーストラリア出身の世界の名手、ダミアン・レーンとくれば、断トツ人気には致し方なし。
それどころか「もう勝負はついている」と、穴党競馬ファンを半ばあきらめさせているのが、9月29日に中山競馬場で開催される秋のGⅠシリーズ第1弾となる「スプリンターズS」だ。
SNSに拡散されている馬券ファンのコメントなどを拾ってみても「サトノのアタマ(1着)でしょうがない」という言葉を目にする。果たして本当にそうなのだろうか。関東在住の馬券師ライターT氏は「サトノレーヴはそりゃ強いですよ」と認めながら、しかし「馬券はそこそこ荒れますよ」と警鐘を鳴らす。
確かに、過去のスプリンターズSを見ると難解なレースであることは一目瞭然だ。上位人気3頭であっさり決まることがあれば、逆にとんでもない穴馬だけで決まることもある。つまり、一筋縄ではいかないレースということだけはわかる。だが、T氏は「難しく考えすぎたらダメです」と続ける。
「あまり過去を遡りすぎても開催日程が変わっているから意味はない。ですから過去5、6年を見ればいい。このレースへのローテーションは前走でセントウルS、キーンランドC、北九州記念のほぼ3レース。馬券になった馬はこの3レースで80%網羅している。ほぼと言ったのは、時々『安田記念』からの直行馬がいるから。でも、今年は1頭もいません。ついでに言えば北九州記念組もいない。そして問題のサトノレーヴは前走キーンランドCの1着馬。ローテーションは問題ない。ですが、キーンランドからの馬は優勝できないというのがスプリンターズSの相場です」
実際にキーンランドCからの優勝馬は10年前のスノードラゴン1頭のみ。当時は大穴での1着だった。なぜ、キーンランドCではなかなか優勝に届かないのか。
「ひと言でいえば、レースレベル。夏の北海道の重賞レースにはなかなか秋のGⅠ獲りを狙う馬は出てこない。しかも直線の短い平坦コースのスプリント戦。そこで勝ったからと人気になっても、他のGⅠクラスと混ざると3着あたりが関の山となっている」
とはいえ、断然人気のサトノが3着に来たら、先に述べた「荒れる」とはならないのではないか…。
「確かに大荒れは無理でしょう。しかし、今回3連単で圧倒的に売れるのはサトノの1着馬券です。サトノがアタマではなかった時点で、その3~4倍ぐらいの配当が付くはず。そこを狙うんです。そして、前哨戦でレベルの高い『セントウルS』から勝ち馬を探すのがベストでしょうね。そうなると、昨年の覇者のママコチャか、そのママコチャを負かしたトウシンマカオとなる。特に中山芝1200メートルで唯一の重賞を勝っているトウシンマカオは人気的に買うべき」(T氏)
つまり、トウシンとママコチャをアタマに置いて、サトノを2、3着にする3連単で勝負というわけか。ここでT氏はもう1頭を推す。
「主戦の浜中騎手の騎乗停止による乗り替わりで人気が少し落ちているナムラクレアは馬券圏内でしょう。他も穴人気馬が数頭いますが、必要なのは3議席。あまり複雑に考えない方がいい」
秋のGⅠスタートは〝人気馬逆転3連単〟で仕留めようではないか。
(宮村仁)