秋のスピード王決定戦スプリンターズS(GⅠ、中山・芝1200メートル)が、2頭の香港馬を迎えて行われる。香港馬は過去10年で3頭出走して5着、6着、競走中止。この成績だけを見ると買いづらいが、競走を中止した馬を除く2頭は、どちらも勝ち馬と0秒2差だった。軽視しない方がいいだろう。
今年出走する2頭のうちビクターザウィナーは、春の高松宮記念に続いての参戦となる。近2走は6着、7着と冴えないが、高松宮記念で逃げて0秒5差の3着に粘ったレースぶりは忘れられない。優勝請負人のモレイラが騎乗するだけに、怖い存在だ。
日本馬で目を見張るのは、芝1200メートル7戦6勝、2着1回とパーフェクト連対のサトノレーヴ。長期休養明け、今年2月の復帰戦となった阪急杯こそ4着に敗れたものの、その後は重賞2勝を含む3連勝で、この舞台にたどり着いた。週明けまで傘マークが付いていて馬場悪化が心配だが、洋芝の道悪で勝っているので、こなしてくれるだろう。
この馬の魅力は、なんといっても血統だ。父ロードカナロアは2012年と2013年のスプリンターズS覇者にして、中山・芝1200メートルのレコードホルダーでもある。さらに母の父サクラバクシンオーも1993年、1994年の覇者。まさにこのレースを勝つにふさわしい血統といえよう。父子制覇はこれまで例はないが、成し遂げる絶好のチャンスがめぐってきた。
ステップ別ではセントウルS組が7連対と、他を大きくリードしている。このセントウルSで1着から3着に入ったトウシンマカオ、ママコチャ、モズメイメイは当然、有力視される。
とりわけ、差す競馬が板に付いてきたモズメイメイは期待大だ。直線で狭い最内をついて0秒2差の3着は、価値が大きい。主戦の国分恭介が手の内に入れているのも心強い。
西では土曜にハンデ重賞のシリウスS(GⅢ、中京・ダート1900メートル)が行われる。過去10年でハンデ頭の馬が勝ったのは、昨年のハギノアレグリアス(58.5キロ)1頭のみ。他はことごとく着外になっている。今年はそのハギノアレグリアスが59.5キロのトップハンデで連覇を目指しているが、簡単ではないだろう。
昨年は阪神・ダート2000メートルで行われたが、今年は左回りの中京・ダート1900メートル。中京は4戦2勝2着1回で問題はないが、1キロ増えた分、最後のひと伸びに影響しそうだ。
そこで浮上するのが、2連勝中の上がり馬ロコポルティ。2走前に今回と同じ舞台で、1分55秒6のタイムで勝っている。重馬場だったが、この時計は出走馬中で最速だ。ハンデは57キロ。勝ち負けになるだろう。
(兜志郎/競馬ライター)