巨人が4年ぶりのセ・リーグ優勝を決めた要因は様々だが、まず挙げられるのは菅野智之の復活だろう。昨年は右腕痛で戦線離脱し4勝8敗に終わったが、今季は体のキレが戻ったことで、ストレートに力強さが加わった。菅野を知り尽くした小林誠司とのコンビが復活し、菅野のいい部分が引き出されたのも大きかった。優勝したことで、MVPの筆頭候補といえるだろう。
一方で、なぜか筒香嘉智の名前が挙がる事態に。DeNAの選手がなぜ巨人の優勝に貢献しているのかと疑問に思うだろうが、そこには「なるほど!」と納得の理由があったのだ。
今シーズン序盤、筒香がサンフランシスコ・ジャイアンツ傘下のマイナー球団を自由契約となった時のことを思い出してほしい。4月7日、日刊スポーツに「5年ぶり日本復帰」という記事が掲載されると、他紙も続々と筒香の動向を報道した。
阿部慎之助監督の「調査はしていただいている」という発言に、「巨人・筒香」がほぼ決定的になった、と思われた。ところが4月16日になって、DeNAから正式に筒香獲得が発表される。まさかの逆転劇に、巨人ファンは大きく天を仰いだ。
これが今となってみれば、巨人優勝への追い風になったのだ。当てが外れた巨人はその後、昨季3Aでリーグ最多安打をマークしたヘルナンデスを獲得。ヘルナンデスは8月に左手首を骨折して戦線離脱したものの、打率2割9分4厘、8本塁打、30打点と大活躍。そして離脱の穴を、新規加入のモンテスが埋めたのも大きかった。
一方の筒香は今季、古巣DeNAで53試合に出場して打率1割9分3厘、7本塁打、22打点と、全盛期にはほど遠い成績。巨人が獲得していれば無理にでも起用せざるをえず、ヘルナンデス級の活躍ができたかには大いに疑問が残る。
今季の巨人は筒香を獲得せず、中田翔を中日に放出し、代わりにヘルナンデスとモンテスが大活躍。結果論とはいえ、補強戦略がズバリ大当たりした。菅野の活躍もさることながら、ファンにしてみれば「筒香選手、古巣に戻ってくれてありがとう」という気持でいっぱいではないだろうか。
(ケン高田)