英国ブックメーカー「ウィリアムヒル」のオッズを見ていくと、3歳馬が優勢という印象を受けるが、
「古馬と3歳馬の斤量差が3.5キロから3キロ差に縮まったのが17年。それ以降の7回は、3歳馬の2勝に対して、古馬が5勝を挙げています」(秋山氏)
古馬で真っ先に注目したいのが、武豊と新コンビを組むアルリファーだ。
「2走前のGⅠエクリプスSは、今年の英ダービー馬シティオブトロイに1馬身差の2着。前走のGⅠベルリン大賞では、初の芝2400メートルをものともせず5馬身差の完勝でした。相手に恵まれた感はありますが、いい勝ちっぷりでしたね。昨夏、GⅡギヨームドルナノ賞で勝ったのちの凱旋門賞馬エースインパクトに4分の3馬身差の2着があり、これを物差しとすれば、通用する下地は十分あります」(秋山氏)
デビュー38年目の今年、初めて函館&北海道リーディングに輝いた武豊は、凱旋門賞にも言及し「チャンスはあるんちゃうかな。前走がめっちゃ強かった。あのレースは凱旋門賞と相性がいいねん」と、心待ちにしている様子だった。
「俺にもまたチャンスが巡ってきた、という感じで、豊さんのモチベーションがグーンと上がっていると思います。テン乗りとはいえ、アイルランドで1週前追い切りにもまたがっていますし、馬場が渋るようであれば、重馬場でのキャリアは豊富なので、善戦以上のシーンも期待できます」(増井氏)
日本のレジェンドが凱旋門賞ジョッキーの称号を獲りに行く中、4歳牝馬のブルーストッキングも追加登録料を払っての参戦に傾いている。
「GⅠ2勝目を挙げた前走のGⅠヴェルメイユ賞は、先行して押し切る完勝でした。2走前のGⅠ英インターナショナルSでは離された4着でしたが、これは馬場がよすぎたのかも。稍重から重程度が合いそうです」(秋山氏)
人気のないところでは、ソジーと同じファーブル厩舎が送り出すマルキーズドセヴィニエに注目だ。
「GⅠを3連勝中の牝馬です。約2カ月ぶりのレースになりますが、これは予定通りで、フレッシュな状態で臨めそう。2400メートルは初めてですが、GⅠパリ大賞を制したメアンドルの半妹という血統も魅力があります」(秋山氏)
混戦模様だけに、馬場状態も気になるところ。過去5年のうち4回が重か不良だった。
「重、不良となれば、20年のように2分39秒台の決着や2年前の上がり39秒台というシーンもあります。逆に良、稍重なら2分25秒台で、上がりが33秒台という昨年のようなスピード面がクローズアップされる。重、不良なら7馬身差で楽勝した春のGⅢが非常に印象的なアヴァンチュールが面白そう。一方、良馬場であれば、ファンタスティックムーンも要警戒。昨年は追加登録で急遽の参戦でしたが、今年は狙い通りのローテーションです」(秋山氏)
マレに見る大混戦の凱旋門賞。勝つのは3歳馬か古馬か、はたまた日本馬のシンエンペラーかレジェンド武豊が世界の頂点に立つのか、見どころは尽きない。