アメリカの最も有名な野球専門誌「ベースボール・アメリカ」が、今シーズンのメジャーリーグにおける年間最優秀選手賞(MVP)を発表した。
MVPに選ばれたのは、ヤンキースのアーロン・ジャッジ。これに史上初の「50-50」、トリプルスリー、さらに「準3冠王」の大谷翔平が選ばれなかったことを疑問視する強い声が「一部」から出ているのだ。すなわち記録づくめの大谷が選ばれなかったのは「アジア人差別」「DHを冷遇している」など、大谷の属性が理由ではないかというのである。
先に「一部」としたのにはワケがある。熱心メジャーリーグファン、あるいはメジャーリーグに詳しい人ほど「ジャッジで当然」としているからだ。
なにしろ盗塁を除く打率、本塁打、打点、得点圏打率、OPSの全てで、ジャッジは大谷を上回っている。リーグが違うことなどから、ジャッジ情報を伝える日本のメディアがほとんどなく、印象が薄いのだ。もし同じリーグであれば、大谷は盗塁王のタイトルしか取れなかったことになる。ゆえに熱心なファンほど「ジャッジで当然」となるのだ。スポーツジャーナリストがこれに頷く。
「確かにDHというのはプラスにはなっていません。ジャッジは守備についていますからね。それでジャッジを上に見るのはおかしいと、執拗に食い下がる大谷ファンがいるわけですが、大谷が投手もやっていた時のMVP争いではその部分での加点がありますから、お互い様だと言えるのでは…」
そして「50-50」で盛り上がった盗塁については、ピッチクロック導入と牽制回数制限により、投手が不利になったため…つまり過大評価だという指摘が。
今シーズンの活躍は「もの凄い」のひと言だが、大谷が真価を問われるのは、投手として復帰する予定の来シーズンなのだろう。
(田村元希)