自民党、安倍派と二階派の政治資金パーティーをめぐる「裏金事件」で東京地検特捜部は12月27日、「清和政策研究会」(安倍派)に所属する池田佳隆衆院議員の国会議員会館内の事務所を強制捜査した。
我々国民にはインボイス制度で100円単位の納税を強いながら、自民党の議員センセイは数千万円単位の「所得隠し=脱税」をやり放題。パーティー券を捌くためには客寄せパンダ、タレント議員だって擁立するし、どんな手を使ってでも議員のイスにしがみつきたいのだろう。
それでも岸田文雄総理は「政治資金規正法の改正もあり得る」と、上から目線かつ他人事のような発言を続ける。ところがこれが「医療業界や自動車業界の多額な政治資金によって、政策が歪められている」としたらどうか。
12月25日から患者1人あたり年間300万円もする「認知症治療薬レカネマブ」の投与が、東京と大阪で始まった。高額医療費助成があるため、患者の負担は年間わずか数万円。290万円あまりが我々の健康保険料から支払われる。
2023年度末までに400人、さらに来年度以降は3万人の認知症患者に、このレカネマブをバラ撒くという。単純計算でも8兆8500億円。すなわち約9兆円の薬代を、現役世代と定年後も収入のある高齢者が負担させられることになる。
こうした高額治療薬については今までも、医者や製薬会社が前のめりになる一方、介護現場や中小企業からは「悲鳴」が上がってきた。医者は国民の私財を使って高齢者に「人体実験」したいのだろうが、介護現場ではたびたび、治療薬の副作用で施設入所中の高齢者の食事量が激減したり、便秘、転倒や脳出血を起こす「死に至る副作用」に振り回されてきた。
この新薬にも従来の治療薬にも、認知症を治す効果はない。治りもしない薬の副作用で食欲が落ち、糞詰まりや脳出血で死んでしまっては誰のため、何のための治療なのか、よくわからない。そのくせ国は来年度、解熱剤や去痰剤など、現在も不足していて日常生活に必要な薬の薬価をさらに下げるという。
中小企業はもっと悲惨で、健康保険料や年金などの社会保険料、税金の滞納で倒産に追い込まれたケースが、今年だけでも約100件。これら倒産した法人には保育園やタクシー会社などが含まれており、老人医療費が地方インフラをも破綻させていることになる。
同じ製薬業界なのに、片や290万円の「ボケが治らない薬」には9兆円規模の税金と社会保険料が費やされ、片やジェネリック医薬品を扱う中小の製薬会社は、解熱剤や子供の治療薬について「医者の診療報酬を守るために値段を下げろ」とイジメ抜かれる。
このイビツで露骨な扱いの差を見るに、多額の献金をしている特定の製薬企業や日本医師会に自民党が「利益供与しているのでは」という疑いを抱くのは当然だろう。事実、武見敬三厚労相は「勉強会」などの会費を含めて年間数千万円の政治献金を、自見英子万博担当相もパーティー券収入など年間約2億円の政治献金を、日本医師会の政治団体や関連団体から受け取っている。
その見返りが、「医者の報酬」だけは引き上げ続け、中小企業はイジメ抜く政策に反映されているのではないのか。
筆者は健康保険料の支払いを滞納してきた。見ず知らずの老人の湿布代から認知症治療薬、ひいては悪徳医者や所得隠し自民党議員らのパーティー券代金を「社会保険料」名目で肩代わりさせられるいわれなどないからだ。
そうしたところ、なにかと出費がかさむ年の瀬になって、地元区役所は「将来、遺族が受け取る生命保険と個人年金を差し押さえた。生命保険を解約されたくなければ、健康保険料を払え」と言ってきた。
税金滞納にはもう少し温情があるが、健康保険料滞納は容赦なく、かつ人権侵害するような取り立て方をしてくる。区役所の職員の「国からの指示ですから」というイヤらしい薄ら笑いに、日ごろ官僚の天下りや増税メガネ内閣批判をしてきた意趣返しと察したのであった。
こうなったら増税メガネと全面戦争だ。全く納得がいかない健康保険料を支払うために新年も東京地検特捜部の捜査を見守り、政治資金なんて全部やめろ、増税フザケンナという記事を書き続けるしかあるまい。
(那須優子/医療ジャーナリスト)