サッカーJ3のいわてグルージャ盛岡は、代表取締役オーナー兼社長で元日本代表の秋田豊氏が、今季限りで退任する意向を固めたと発表した。
8試合を残して20チーム中最下位(5勝19敗6分)と低迷。来季のJFL降格へ待ったなしの危機を迎えていた。
「2022年シーズンにクラブ史上初めてJ2の舞台に立ちましたが、わずか1年で出戻ることになりました。それからは波に乗れない不安定な戦いが続き、特に今シーズンは監督が2度も交代。しかし、チームを立て直す劇薬にはなりませんでした」(サッカーライター)
低迷の原因はどこにあるのか。秋田氏の人脈を生かした戦力を見ると、他のクラブがうらやむビッグネームが揃っていた。
オシムチルドレンでスコットランドの強豪セルティックに在籍していたMF水野晃樹をはじめ、鹿島アントラーズ時代にFIFAクラブワールドカップで対戦したレアル・マドリード(スペイン)を驚かせたDF西大伍を獲得。さらにJ1やJ2で実績十分のFW都倉賢、MF中村充孝、GK大久保択生が所属しているのだ。前出のサッカーライターが解説する。
「サポーターは当然、今季はJ2に復帰できると期待していました。しかし、アラフォーの大ベテランばかり揃えて勝てるほど、J3は甘くありませんでした。2022年シーズンにはFC岐阜がFW田中順也、MF柏木陽介、MF本田拓也の元日本代表トリオに加え、MF菊池大介、DF宇賀神友弥といった豪華な戦力を集めて、J3の『銀河系軍団』と注目を浴びたことがありました。しかしフタを開けてみれば、14位に沈むという結果に…」
いわてグルージャは9月のホームゲーム3試合で1万人の来場者を目指す「いわて一岩1万人プロジェクト」を実施した。だが残念ながら、知名度があろうとも、勝てなければ客寄せパンダにすらなれない。サポーターはスタジアムに足を運ばなかったのだ。
「創設20周年を記念したビッグイベントでしたが、カマタマーレ讃岐(9月1日)とヴァンラーレ八戸戦(9月14日)の2試合を終えた段階で、入場者数は計3850人。ホームスタジアムのいわぎんスタジアムの収容可能数の関係で、残り1試合で6150人を集めるのが不可能になり、早々に未達成となりました」(前出・サッカーライター)
チームの「顔」だった秋田氏が離れることになり、いわては厳しい冬を迎えることになりそうだ。
(風吹啓太)