海外のUMAに目を向けると、アメリカで最もメジャーなのがビッグフットと呼ばれる獣人だ。やかん氏は回想する。
「子供の頃、雪男とかビッグフットに興味がありましたね。『歩きながら、カメラに向かって振り向くビッグフット』の映像(パターソン・ギムリン・フィルム。67年、米カリフォルニア州の山中のビッグフットの姿が8ミリフィルムで撮影された) がすごく好きで。UMA研究家によると『あれはぬいぐるみで中に入っている人がいた』って言うんだけど、当時、ハリウッドで猿を作らせたら右に出る者はいないと言われていた特殊メイクアーティストのリック・ベイカーよりも、あのビッグフットのぬいぐるみの方がよくできていた。だから『あれは本物じゃないか?』と騒がれたんですよね」
アメリカのビッグフット、ヒマラヤ山脈のイエティが謎の獣人として世界的な知名度を上げる中、70年に比婆山連峰で目撃されたとされるのが国産二足歩行類人猿のヒバゴンだ。
町役場には一時「類人猿係」が設置されるなどお祭り騒ぎに。騒動から50年以上経った今も町内の看板や類人猿キャラがパッケージに描かれたヒバゴンネギなど、マスコット的な存在として健在だ。
昭和UMAの中でも異色の存在が日本の南極観測船「宗谷」の船長と乗組員が南極近海で目撃した巨大生物だろう。
「UMAの中で一番魅力があるのは南極ゴジラですよ。南極に現れた15メートルもある怪獣ですから。これはロマンがあります」(やかん氏)
乗組員が写真を撮影しようとカメラを取りに行っている間に氷海に潜って姿を消したという。
やかん氏は海底にはまだ夢が残っている可能性を膨らませる。
「シーラカンスみたいな生物もいるだろうし、サメだって古代からの生き物なわけで。海底には何かの可能性が残されているのではないか。〝地球空洞説〟ではないですが、空洞の中にそういった巨大な生物が生きていたら面白いですね」
昔から描かれてきた日本古来の妖怪とUMAの線引きはなかなか難しいところがある。
例えば河童。ほぼ日本全国で伝承されている妖怪であり、鬼、天狗と並んで日本で最も有名なUMAと言えるだろう。河童にまつわる信じがたい話をやかん氏が掘り起こす。
「漫才コンビ・Wリンダの片割れで世界のうめざわという芸人がいるんですが、なんとそのうめざわの父親が河童を捕まえて食べたことがあるらしいんですよ。で、食べてみたらすごい酸っぱかったって。河童酸っぱいって言ってました」
河童は古来水辺で暮らす民だった説や、間引きされた子供が川に流されて腐乱した姿だったなど諸説あるが、決して食べ物ではないはず‥‥。