それは10月13日深夜のことだった。突如として「ピッツァの話」という謎のワードがトレンド入りしたのだ。原因はこの日に放送された「乃木坂工事中」(テレビ東京系)である。
展開されたのは、乃木坂46のメンバーが収録時に座るイスのグレードアップを懸けてゲームに挑戦する「イスランド」。出色だったのは弓木奈於だ。
メンバーが座ったキャスター付きイスを勢いよく押し出し、スタジオのフロアにプリントされた得点パネルにピッタリ止める、というダーツ的な競技に参戦。ちなみにイスに座ったのは、5期生の池田瑛紗である。
高得点を狙う弓木・池田ぺア。キャスター付きイスは5脚のうち2脚が40ポイントのパネル部分にかろうじて入ったものの、残り3脚は全て枠外だった。つまり一見するとポイントは加算されないことが明白なのだが、弓木はなんとかイスのグレードアップを乃木坂にもたらすべく、MCのバナナマンに直談判する。
その際に持ち出したのがナゾの「ピザ理論」だった。
「ピッツァの話をしましょう!」
元気よく挙手して提案すると、5脚のイスが床にそれぞれ接地している面積を、5等分した時のピザにたとえ始めたのだ。
一体どういうことなのかと、耳をそばだてるバナナマン。だがいくらピザにたとえようとも、5脚のうち3脚が枠の外にあることに変わりはない。弓木は自ら切り出したこの理論に何の意味もないことに気付き、今さらながら愕然。体育座りをしたままうつむいてしまい、スタジオは大爆笑に包まれた。
ただし、このゴネた行為が功を奏し、見事に40ポイントを獲得。弓木は池田と感動のハグをする。
今回は一瞬で自滅するポンコツぶりを見せたが、一方で機知に富んだ言動でも知られる。真夏の全国ツアー最終日のステージでは、キャプテン・梅澤美波への日ごろの感謝のしるしとして、他のメンバーたちに呼びかけて「みんなで梅澤さんをギュッと抱き締めよう」とその場で提案。
あるいはラジオ番組「沈黙の金曜日」(FM FUJI)では即興でカルタの読み札を読んだり、架空のYouTubeチャンネルの挨拶を同じく即興でひねり出すなど、「おバカ」とも「天才」ともつかない、言葉では説明しにくい「弓木ワールド」を展開している。
「ただ、本人はいたって真面目で、『アワアワしているだけ』と謙虚ですね。番組収録後は往々にして自己嫌悪に陥り、録画を見返しては反省しているそうです」(アイドル誌ライター)
ますますそのキャラクターに興味を持たれたのではないだろうか。
(松元真一)