JRAの調整ルームには、通信機能を設定でオフにできる最新のゲーム機の持ち込みは許されているようだが、競輪界では通信機能が備わっているゲーム機自体、スマホと同様に持ち込みが禁止であり、同等の処分が待っている。
「今のゲーム機はチャット機能を利用して外部との連絡を取ることも可能です。なので競輪界では、そうした機能がそもそも付いていない01年に発売された『ゲームボーイアドバンス』(GBA)が〝最新〟のゲーム機で、宿舎に持ち込めるのは、GBAを含めて、どれも古いタイプの7種類だけ(笑)。些細なことかもしれないけど、疑惑を持たれないように徹底している」(競輪関係者)
このように他の公営競技の「公正確保」への意識や取り組みを見ていくと、JRAのぬるま湯体質が浮き彫りになるばかりだが、美浦のトレセン関係者からはこんな声も漏れてくる。
「中央競馬の場合、開催中(土・日)の移動があったり、高額な動物相手ということで、円滑な業務のためにも、便利なスマホへの依存度が高く、他の公営競技の取り組みと比較するのは難しい。ただ、もう少し騎手の立場に立ったルール作りは必要でしょう」
例えば、レース後の検量室前などで、厩舎関係者がスマホで会話をしている横に騎手がいる光景をよく目にするが、
「ファンには、どう映っているのか。他場にいる調教師との打ち合わせと見るのか、それとも馬主と勘繰るのか。今回の藤田の件は、通信相手に厩舎関係者が絡んでいて、トレセン内では『元カレとの別れを巡る感情のもつれ』とも噂されているが、いずれにせよ、昨今の若手騎手によるスマホ不正使用の裏には、多くの厩舎関係者の影がちらついている。JRAは個別の案件として騎手だけを処罰するのではなく、調教師を含めた厩舎関係者、そして馬券が購入できる馬主に至るまで、徹底的に調査するべき。そして調整ルームの必要性を含め、開催中のスマホ使用のルールまで、緊急の見直しが迫られていると思います」
果たして今後、JRAはどのような不正防止策を打ち出すのか。藤田菜七子電撃引退の波紋は、まだまだ広がりそうだ。