2025年下期のNHK連続テレビ小説「ばけばけ」のヒロインが、髙石あかりに決定した。NHKが10月29日、生放送枠で発表という異例の手段での公表となった。
午後1時5分からの「列島ニュース」内でのヒロイン発表。NHK大阪放送局内の会場にはメディアだけでなく、NHK局内のスタッフも大勢詰めかけた。白い着物姿の髙石が登場すると会場は拍手に包まれ、感極まった髙石は思わず涙を流すのだった。
そんな会場の雰囲気とは裏腹に、視聴者からやはり出たのが「誰?」「知らない女優だ」という反応である。
朝ドラはこのところ黒島結菜、福原遥、趣里、伊藤沙莉、橋本環奈と、既に名前が広く知れ渡っている女優をヒロインに起用するパターンが続いている。来年4月スタートの「あんぱん」も、オーディションで選ばれたとはいうものの、今田美桜という、これまた売れっ子女優をもってきた。
こうした女優を起用する理由には「なんとか若い視聴者に見てもらいたい」という考え方があってのこと。
「とはいえ、既に『色』のついた印象の女優が続くことに、従来の朝ドラファンからは批判が出ていました」(ドラマライター)
確かにかつては、まだ一般には名前が浸透していない、デビュー間もない女優を起用することが多かった。2013年度上期「あまちゃん」の能年玲奈(のん)、2010年度下期「てっぱん」の瀧本美織、2009年度下期「ウェルかめ」の倉科カナ、2003年度下期「てるてる家族」の石原さとみ…。
古くは1996年度上期「ひまわり」の松嶋菜々子や、1988年度下期「純ちゃんの応援歌」の山口智子、1985年度上期「澪つくし」の沢口靖子らも、朝ドラのヒロインをきっかけに、人気女優へと成長していった。前出のドラマライターが言う。
「従来の朝ドラファンには、初々しいヒロインがトップ女優へと成長していく過程を追う楽しみがありました。そういう意味では、髙石さんはうってつけ。極めてフレッシュな人材と言えるのでは」
とはいえ髙石は、デビューしたてのまったくの新人女優ではない。12歳だった2012年、エイベックス主催のキッズコンテスト出場をきっかけに、芸能界入り。2021年から3作品が公開されている映画「ベイビーわるきゅーれ」シリーズで伊澤彩織とW主演を務め、テレビ版「ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!」には同じく伊澤とW主演で現在、テレビ東京で放送中。シリーズファンには評価の高い女優なのだ。
また、NHKで昨年放送された連ドラ「わたしの一番最悪なともだち」では蒔田彩珠とW出演、舞台「鬼滅の刃」では竈門禰豆子役と、実績があるのだ。
朝ドラ作品は小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)という実在の作家の妻をモデルにしている。
「イメージ的には同じ怪奇系作家の妻がヒロインとなった2010年度上期の『ゲゲゲの女房』に近いといえそうで、良作が期待できます」(前出・ドラマライター)
髙石にとって、代表作となることを期待したい。
(石見剣)