犬と違って、猫は気まぐれ。フラッと家を出て翌日に帰ってきたり、なかには3日も4日も姿を消し、やっと戻ってきたと思ったら、なに食わぬ顔で「定位置」でスヤスヤ…ということも珍しくない。
ただ、それが1週間どころか1カ月ともなれば完全に行方不明、ということになり、飼い主によるSNSでの呼びかけやポスター、チラシ配布による大捜索が始まることになる。
イギリスで2010年に西ロンドンの自宅から姿を消し、なんと14年ぶりに飼い主の元に戻ったとして話題になっている猫がいる。それがヴィヴィアン・タールトンさんと暮らしていた、シャーロットだ。
英デーリー・スター紙によれば、シャーロットが自宅から姿を消した直後から、タールトンさんは自身でポスターやチラシを作るなどして、シャーロットの行方を懸命に捜索。それでも手がかりさえなく、最後は霊能者に依頼するなど、あらゆる手を使ったというが、シャーロットの消息はわからずじまい。時が流れても、タールトンさんは再びシャーロットに会えることを信じて、その希望を失わなかった。
すると今年10月初め、タールトンさんのもとに1本の電話が入る。相手は「RSPCA(ザ・ロイヤル・ソサエティー・フォー・ザ・プリベンション・オブ・クルーエルティ・トゥ・アニマルズ=英国王立動物虐待防止協会)」のスタッフだった。なんと、シャーロットが南ロンドンで見つかったというのだ。
タールトンさんが住む西ロンドンと南ロンドンは、直線距離にして6マイル(約10キロ)。シャーロットは南ロンドンの地で「地域猫」として付近の人々に可愛がられていたが、高齢で健康状態が悪化。歩行困難な状態なっていたことで地元住民がRSPCAへ連絡し、マイクロチップを確認したところ、14年の時を経て飼い主がタールトンさんであることが判明したのである。
シャーロットと再会したタールトンさんは、年老いた愛猫を抱きしめ、ただただ涙するばかり。再会を疑わず、待ち続けたタールトンさんの思いが起こした奇跡だったのかもしれない。
そんなシャーロットが天に召されたのは、16日後のことだった。再会してわずか16日間での別れ…でも、その時間はタートルンさんとシャーロットにとって、静かでかけがえのない時間だったのだろう。タートルンさんはデーリー・スター紙の取材に、こう語っている。
「私と一緒に暮らしていた頃はやんちゃでしたが、ロンドンの反対側までたどり着いて、そこで誰かに餌をもらって可愛がられていたなんて…。彼女は素晴らしい子猫だったので、また会えるという希望を決して捨てませんでした。最高の幸せから最悪の幸せまで経験してきましたが、シャーロットと一緒に過ごした16日間は素晴らしかったです」
このニュースは全英で報じられ、猫の飼い主たちの涙を誘うことになった。