開催中の大相撲・九州場所序盤、大関・豊昇龍が順調な滑り出しで、今場所こそはと、大いに期待を持たせている。まずは相撲ライターの分析を聞こう。
「豊昇龍の破壊力は、初日から王鵬、若元春、平戸海を一方的に攻め切った相撲を見てわかります。大関昇進後、朝青龍の甥っ子とは思えない停滞が続いていたので、かつての朝青龍ファンなどは、痺れをきらしていた。あれこれ考えず今のような相撲を取っていたら、自然と綱が見えてくるはずです」
叔父の朝青龍は、とにかく強気で、迷わなかった。が、豊昇龍は技の多彩さ、立ち合いの鋭さに恵まれながら、それをなかなか発揮できないでいた。相撲ライターが続ける。
「関脇時代の豊昇龍には、朝青龍からメールが届いていました。〈こんな取り口いいのか? 勝負から逃げる。バカやろ〉〈若いのに恥ずかしい〉などと、ボロクソにけなしていたのです。豊昇龍は叔父からの辛辣なメールを一時、ブロックしていたそうです。相撲は勝ってナンボの商売。忌憚のない意見を言ってくれる叔父の存在はありがたいはずですが。今は2人の関係がどうなっているのか…」
テレビ番組でお笑い芸人に突っ込まれると、「叔父さんは強すぎて」と言って逃げたが、今場所は朝青龍のアドバイスなど必要がないほど絶好調だ。
今場所は大の里、好調の若隆景、豊昇龍を中心に進むだろうが、優勝を左右する一番でも、相撲に集中できるだろうか。
(蓮見茂)