今年の出生数は、68万人を下回る見込みだという。一方で警視庁採用試験応募者数は、2010年の3分の1にまで落ち込んだ。この国の少子高齢化は、将来の警察官や自衛官のなり手がいなくなる「国の安全保障」を脅かす危険水域に達している。そんな中でまた、小さな命が犠牲になった。
今年10月、札幌市北区の認可保育園「アイグラン保育園拓北」で、1歳の園児がその日の給食に出された韓国風焼肉「プルコギ」を喉に詰まらせ、心肺停止状態に。その後、搬送先の病院で死亡が確認された。
同園では11月13日から保護者への説明会を始めたが、園への不信感と不安を募らせる保護者に対し「調査中」を繰り返すのみで、遺族や保護者の感情を逆撫でする事態になっている。
しかも保育園を運営する法人は「食育」と、生後2カ月に満たない赤ん坊を預かる「乳児保育」を売りに、全国で461の保育園を運営している。食育に力を入れているといいながら、幼児の歯では噛みきれず喉に詰まらせるリスクが高い「プルコギ」の材料、牛肉やパプリカ、ニラ、春雨をどのように1歳児に提供していたのか、直ちに保護者に説明すべきだろう。
死亡事故原因については行政と北海道警の調べを待つとして、以下は一般論。なぜ園児や学童の給食で「窒息死」が相次ぐのか。それは管理栄養士と調理師、保育園や学校の運営者と、監督する行政に知識も常識もないからだ。
とりわけ全国各地で問題となっているのは、「韓国料理」のゴリ押し。本場韓国では牛肉スープやワカメスープ、細かく刻んだ野菜入りのチヂミなど、月齢や年齢に合った幼児食を提供する。ところが日本の給食では「韓流カブレ」した管理栄養士が、韓国の幼児が口にしない春雨や白玉団子、トッポギなど、大人でもよく噛んで飲み込まないと喉につかえる食材を出したがる。
筆者がこれまで勤務してきた老人介護施設、障害者福祉施設でもたびたび問題になってきたのが、「白玉団子」「トッポギ」と、韓国料理に欠かせない「ニラ」だった。飲み込む力の弱い障害者や障害児、高齢者、食事を丸呑みする障害児や認知症老人にわざわざ提供する必要があるのかと、「医師と看護師VS施設と管理栄養士」という構図で意見が衝突している。
今年2月28日付の本サイト記事で、乳歯の生え変わり時期の小学生がウズラの卵を喉に詰まらせ窒息死した悲劇をお伝えしたが、ウズラの卵も白玉団子もトッポギも春雨も、喉にスッポリとハマッてしまうと、「吸引器」や「掃除機」では取れない。苦しむ子供を見た職員が詰まった食材をかき出そうとしても、ウズラの卵はツルツル滑り、団子は喉にへばりつき、医療機材が揃った病院に到着する頃には絶命してしまう。
そんな悲壮な「事故報告」が挙がっているのに「献立は変えない」と頑なに危険な食材を使う管理栄養士や調理師、幹部が全国の施設に潜んでいる。
幼い子供や障害者、高齢者を保育園や介護福祉施設に預けている家族が「ヤバイ施設」かどうかを見抜くポイントが「給食献立表」だ。献立表の材料に日本小児科学会が危険な食材に挙げている、うずらの卵、大粒のブドウ、ミニトマト、さくらんぼ、球形のチーズ、こんにゃくやしらたき、春雨、水菜、白玉団子、餅の使用頻度が高いなら、その施設はかなり危ない。
栄養価が高く子供が好きなミニトマトやチーズ、ニラを給食メニューから外すのは、現実的には難しい。やむをえず給食に取り入れるのであれば、細かく切って提供しているか、職員に口頭で確認するだけでなく、実際に子供や障害者に提供している給食の現物を見せてもらおう。
(那須優子/医療ジャーナリスト)