いかにも健康そうな人が素知らぬ顔で優先席に居座り、近くにお年寄りが立っている…通勤時に見かける「切ない気分にさせるシーン」の代表格だ。
JRのHPによれば「お年寄りやお体の不自由な方、乳幼児をお連れの方、妊娠されている方などのための優先席」とある。今さら持ち出すまでもない常識だが。
ところが、ここで悩ましい状況がある。「通常の席は埋まっているが、優先席はガラ空き」という場合だ。通勤に電車を利用する男女100人に聞くと、51人が「座らない」、49人が「座る」と回答した。
●座る派
「お年寄りや妊婦が来れば譲るけど、それまでは誰にも迷惑がかからないので」(30歳/男性)
「端の席が空いていたら、普通の席の真ん中のほうが空いていても座っちゃうかも」(32歳/女性)
「優先すべき人がいないのに、席を使わずに空けておく必要はない」(35歳/男性)
●座らない派
「通常の席なら『どうぞ』と譲るのが自然だけど、優先席で『どうぞ』と譲るのも不自然なので、そそくさと黙って立ち去る形になるのが何だか嫌だから始めから座らない」(29歳/女性)
「座っていると、時々一般席から厳しい視線を受けることがあったので、座るのをやめた」(34歳/男性)
「その時に空いていても、次の駅で乗ってくるかも知れないから、優先席は空けておくべき」(36歳/男性)
「座らない派」から「座る派」に対してはこんな意見もある。
「老人なら一瞥して見分けがつくが、妊娠初期の妊婦や、外見的にはわからない心臓の病気の人もいる。『必要な人が来れば譲る』という人は、老人やお腹の大きい妊婦にしか気づけないのでは?」(39歳/男性)
「妊娠している時に譲ってもらえたときは本当にありがたかった。わざわざ席を譲ってもらうのも申し訳ないので、電車に乗る時に優先席が空いているとホッとした経験があるので、空けておくべきだと思う」(37歳/女性)
やはり道義的には「空けておく」べきなのではないだろうか。関西出身者からこのような指摘がある。
「東京に出てきて、すごく驚いたのが電車マナーの悪さ。特に『あまりにも躊躇なく優先席に座る』人が多いこと。これは、神奈川や埼玉ではなく、『東京』での印象。とはいえ、利用者は都民に限らないだろうから、東京という街がそうさせるんでしょうね。みんな、疲れてる」
一方で、このような見解もある。
「優先席が空いていても一般席に座ろうとする老人もいるし、マナーを守らない『図々しい人』が恩恵を受けている不平等感もある。本来、どの席でも老人や妊婦には席を譲るのだから、優先席は何のためにあるのか?」(27歳/男性)
また、このような硬派な意見も。
「男なら、どんなに疲れていても座らないくらいの気概を持つべき」(40歳/男性)
これが、電車内が殺伐としない最適解かも知れない。