大盤振る舞いが、まさかの「戦略ミス」で台無しになってしまった。サッカー日本代表「FIFAワールドカップ26 アジア最終予選インドネシア戦」を無料配信したDAZNのことだ。
コトの顛末を、テレビ局関係者が語る。
「ワールドカップ26アジア最終予選のアウェー戦は、ネット配信のDAZNが独占し、地上波で放送できるのはホームの試合だけになりました。しかし、これにサポーターから大ブーイングが起こった。あまりに反響が大きかったので、DAZNは11月に行われるアウェーのインドネシア戦と中国戦を、無料で配信することにしました」
無料配信が発表されると、サポーターから感謝の声が上がったのだが、いざインドネシア戦が配信されると、再び大ブーイングへと変わる。想像していたものとは違ったからだ。
中継映像の左にナインティナインの矢部浩之、GENERATIONS from EXILE TRIBEの片寄涼太、ももいろクローバーZの玉井詩織、ウエストランドの井口浩之、サッカー解説者の林陵平氏が常に映っている。なんとも不思議な画面構成だった。これには「左の映像を消せないのか」「うっとうしい」と、視聴者からクレームが。
しかも実況と解説はなく、林氏を除く4人が雑談を続けたことで、視聴者の怒りは増幅。「林さんだけしゃべってくれ。他は黙れ」「これは副音声でやることだろ」といった具合だった。
これは無料配信だけであり、有料会員は小野伸二氏と中村憲剛氏の解説を聞くことになる。DAZNは無料配信と有料会員向けの配信で、差をつけたのである。なぜこうなったかといえば、
「無料配信は多くの非会員が見ることになるので、なにか面白いことをして、DAZNをアピールしようとしたのではないですか。アジア最終予選を見るために有料会員になった人たちへの『配慮』もあるでしょう。ただ、今回の無料配信を見てDAZNに加入しようと思った人は、まずいないでしょうね。完全に戦略ミスです」(前出・テレビ局関係者)
厳しいコメントは試合終了まで続き、
「DAZNはサッカーに関わらないでほしい」「カタールW杯のABEMAはよかった」との辛辣な意見もあった。11月19日の中国戦も無料配信されるが、視聴者の声は反映されるだろうか。
(鈴木誠)