「20ゴールを目標にしている。自分らしく得点量産して、チームを勝たせたい」
冬の風物詩「第103回全国高校サッカー選手権大会」の抽選会が11月18日に行われたが、自信満々にアピールしたのが、今大会No.1ストライカーとして注目を浴びる日章学園(宮崎)のFW高岡伶颯(たかおか・れんと)だった。
これまでの大会歴代最多得点は、第87回大会で鹿児島城西高校のFW大迫勇也(現・ヴィッセル神戸)が記録した10ゴール。となると、高岡には「半端ない」ゴール数が期待される。
本来ならば「20ゴール宣言」など、ビッグマウスだと一笑に付されるところ。それを「もしかしたら」と思わせるのが高岡だ。サッカーライターが解説する。
「3大会連続18回目出場の日章学園で、1年の冬からレギュラーに定着しました。165センチと上背はありませんが、裏に抜け出すスピードと天性のゴールの嗅覚、シュート精度は超高校級です。宮崎県大会の決勝では宮崎一高を相手に2得点をマークし、5-0で全国大会へと導いています」
高岡の名前が世界に知れ渡ったのは、2023年にインドネシアで開かれたU17ワールドカップに日本代表メンバーとして出場した時だった。
初戦のポーランド戦から途中出場で決勝ゴールを奪い、2戦目のアルゼンチン戦でもゴール。引き分け以上でグループステージ突破が決まる3戦目のセネガル戦では、途中出場から2ゴールを挙げて、アフリカ王者を撃破した。
グループリーグ3戦4発のインパクトは、世界中から集結していたスカウトマンをどよめかせ、Jリーグのみならず、海外クラブからオファーが舞い込んだ。今年は17歳ながらU19日本代表に選ばれたが、国内外で争奪戦が繰り広げられる中、4月にはヨーロッパに渡った。前出のサッカーライターによれば、
「セリエAの強豪チーム、インテル・ミラノの『トライアウト詐欺(費用を振り込ませる手口)』の被害に遭ったと、イタリアのメディアが報じて、日本のサッカー関係者が騒然となりました。しかし、報道は事実無根だったようで、実際はサウサンプトン(イングランド1部)の練習に参加していた。6月に加入内定が発表され、Jクラブを経由しない欧州挑戦が決まりました」
日章学園は2年連続で初戦敗退の苦汁を舐めているが、けっして高岡のワンマンチームではない。来シーズンからJ2ベガルタ仙台に加入するMF南創太がチャンスを作り「20ゴール」をアシストするはずだ。
「日章学園は12月29日の1回戦で西目(秋田)と対戦しますが、比較的ブロックに恵まれました。2回戦では、骨っぽい岡山学芸館(岡山)と矢板中央(栃木)の勝者と激突。これを越えれば、ベスト8までは確実に届きそうです」(前出・サッカーライター)
とはいえ、大迫の大会記録を抜くには、最低でも国立(ベスト4以上)まではいかないと厳しいだろう。チームの戦力が整った今こそ、規格外のストライカーに「半端ない置き土産」を残してほしい。
(風吹啓太)