JリーグのJ1自動昇格の2枠は、J2優勝を決めた清水エスパルスと2位の横浜FCで決定。残り1枠を3位から6位の4チームで争う。
リーグ順位の上位側のホームで試合が行われ、90分で同点の場合は、順位が上のチームが決勝に進出するシステムだ。
では白熱のプレーオフを前に、12月1日に行われる熱気ムンムンの準決勝の展望を紹介していこう。まずはV・ファーレン長崎(3位)VSベガルタ仙台(6位)だが、第34節から最終節の怒涛の5連勝で勢いに乗るのは長崎だ。特に強力なのは、シーズン74得点のうち、約8割を決めた外国人4人衆だ。Jリーグを取材するサッカーライターが、そのレベルの違いを語る。
「得点ランキング2位で18得点のMFマテウス・ジャズス、15得点のFWエジガル・ジュニオ、12得点のMFマルコス・ギリェルメ、10得点のFWフアンマ・デルガドは、J1のクラブが来季の新戦力にリストアップしています。それ以前に、全員が欧州リーグで通用する実力者で、はっきり言ってJ2では反則レベルといえますね。チーム自体は昨季より組織的なパス回しが段違いによくなりましたし、引き分けも許されない仙台は攻撃に出るしかない。守備にほころびが生じれば、容赦ない長崎の鋭いカウンターでゴールを脅かされるでしょうね」
仙台としては、先制ゴールを取られれば苦しくなるのは、今季の成績を見ても明白。50得点で44失点と、攻守はどちらも特筆する点がない。勝負を決める絶対的エースも不在だ。
それでも第2節のアウェーで迎えた長崎戦は2-1の勝利。第20節のホームでは2-2で引き分けた。長崎に苦手意識がないのは大きい。
さらに好材料なのは、来シーズンの続投が決まっている森山佳郎監督の存在だ。
「仙台で初めてJクラブの指揮を執っていますが、これまではU17日本代表の監督を8年間、務めてきました。アンダー世代のアジアカップやワールドカップの短期勝負での経験は豊富なだけに、長崎を丸裸にして、ひょうひょうと奇襲作戦を実行してくる可能性がある。数字では比較できない侮れない相手であることは間違いありません」(前出・サッカーライター)
もうひとつのカードは、モンテディオ山形(4位)VSファジアーノ岡山(5位)の対決だ。
山形のキーマンは、シーズン途中に鹿島アントラーズから加入したMF土居聖真と、湘南ベルマーレから移籍した点取り屋のFWディサロ燦シルヴァーノのコンビだろう。
第30節から驚異の9連勝でプレーオフ進出に導き、新加入コンビに触発された山形の選手たちは、どこが相手でもピッチ上で自信を漲らせていた。
それでも前出のサッカーライターは、山形の攻撃陣といえども、簡単には崩せないと分析する。
「今季の岡山のサッカーは、堅守速攻の言葉がぴったり。ボール支配率はリーグ17位で、相手チームがボールを動かしている時間は長いのですが、失点数はリーグ2位のわずか29点でした。堅固な守備に隙を生じさせるには、ファンタジスタの土居のアイデア次第。山形は9連勝中に24ゴールも奪っているだけに、ほこたて対決は見どころ十分でしょう」
岡山はプレーオフ出場クラブの中で、シーズンの得点数48と最小なのが弱点。今季の直接対決は2戦ともに引き分けているが、ゴール前に鍵をかけているだけでは、リーグ順位で山形よりも下回っているだけに、厳しいだろう。
負ければ即終了のサバイバルマッチ。12月7日の決勝はどんな顔合わせになるのだろうか。
(風吹啓太)