あなたは飛行機に乗った時、何かよからぬ事態に巻き込まれたことはないだろうか。なにしろ今、航空機内での犯罪トラブルが増加しているのだ。
今年1月から10月末にかけて、成田空港署が把握した成田空港着の航空機利用客を主な対象とする被害件数は39件にのぼり、前年同期の20件から約2倍に増加したことが明らかになったのだ。
機内で発生する犯罪トラブルはなにも、窃盗だけにとどまらない。特に消灯時間や乗客が眠っている状況を狙った性被害が、増加傾向にあるのだ。国際線の深夜便で盗撮被害に遭ったという、30代女性の告白を聞こう。
「深夜に眠っている時、服の胸元を引っ張られ、胸元を覗き込まれました。隣に誰も座っておらず、私もうたた寝をしていたため、犯人が誰なのか分かりませんでした。客室乗務員に相談しようと思ったのですが、到着が遅れて急いでいたため、結局は被害届を出すことはできませんでしたが」
過去には国内線での事件も発生している。離陸後しばらくして、男性の乗客が女性客室乗務員のスカートの中にボールペン型の小型カメラを差し向け、盗撮行為に及んだのだ。この乗客は羽田空港に着陸すると同時に、警視庁によって逮捕された。
機内での性犯罪は、目撃者が限られる密室的な空間で発生するため、被害者がその場で行動を起こしにくいことが背景にある。さらに、機内ではトラブルが発生しても、到着するまで犯人を拘束する手段が限られ、捜査が遅れるケースが少なくない。被害を受けた乗客が到着後すぐ予定に追われる場合、被害届の提出が後回しになることも、犯行が繰り返される原因のひとつと考えられる。
こうした機内犯罪を防ぐには、航空会社や捜査機関が機内の監視体制を強化し、被害者が速やかに通報できる仕組みを整備するなど、実用的な対策を講じる必要があるだろう。