ウイルスと人類の戦いは永遠に続く。今度はアフリカで若者ばかりがバタバタと死んでいく「謎の感染症」が広がっている。
アフリカ中部に位置するコンゴ民主共和国の保健省は、南西部で正体不明の病気が広がり、今年10月から現在までに80人以上が死亡したと発表した。症状は発熱や頭痛、咳などインフルエンザに似ているというが、患者の検体からはインフルエンザウイルスや既存のウイルスは見つかっていない。
これまでに300人以上が発症し、亡くなったのは体力や抵抗力のない子供ではなく、体力のある10代後半の若者が過半数を占めるというから、なんとも不気味だ。
コンゴ政府は専門家のチームを派遣。WHOなどとも連携して、新種のウイルスによるアウトブレイクの可能性も含め、原因究明するという。
コンゴではこれまでも、人間の体の穴という穴から血が噴き出して死ぬ恐怖の伝染病「エボラ出血熱」や「サル痘(エムポックス)」など、未知のアメージングウイルスによる新興感染症が発生してきた。
とりわけ「サル痘」は2022年5月の感染報告からわずか2カ月で、海外渡航歴のない感染者が日本でも確認された。未知のウイルスは、インバウンドの影響もあり、これまでの常識を覆すスピードで広がっていく。
コンゴ保健省では人ごみを避けるよう、国民に感染対策を呼びかけている。
(那須優子/医療ジャーナリスト)