「アメリカの力は相対的に落ちている」
MAGA(Make America Great Again=アメリカを再び偉大にする)を唱えているトランプ次期大統領が聞いたら怒り出すだろう発言をした人物がいる。石破茂首相だ。
石破首相は12月10日の衆院予算委員会で、持論である「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」構想について聞かれると、
「相対的に落ちているアメリカの力をどこがどう補って、力の均衡を維持するかということは、軍事を考える上において極めて当たり前の話であって、考えない方がよほどおかしいということだと思います」
そう答弁して、検討する意義を強調した。さらに憲法を逸脱する可能性についても、
「最初からダメだと決めつけることは思考停止だ」
トランプ氏が2025年1月に大統領に就任したら、石破首相は早期の日米首脳会談を開催したい意向を示しているが、はたしてトランプ氏に面と向かって「おたくの力は相対的に落ちている」と言えるだろうか。それなら日本の防衛費をGDP(国内総生産)比2%でなく3%や4%にしろ、と言われるのがオチだろう。
なお、軍事分析機関グローバル・ファイヤーパワーが1月に発表した「世界の軍事力ランキング2024」では、アメリカは依然、1位となっている。調査は軍事力、財政、兵站、地理など、50項目を超える指数を用いて算出されている。
(奈良原徹/政治ジャーナリスト)