巨人が前中日のライデル・マルティネスに続いて、田中将大とも契約基本合意をする中、パ・リーグの金満球団ソフトバンクは、レッドソックス傘下3AウースターをFAとなった上沢直之を獲得した。
上沢には12年間在籍した日本ハムからも、単年でのオファーが届いていたが、ソフトバンクは4年総額10億円の好条件を提示。自分をより高く評価してくれた球団を選ぶのは、プロとして当然とも言える。
もっとも、日本ハムファンの胸中は複雑だ。ルール上の問題ないとはいえ、2022年オフにメジャー昇格を果たせずFAとなった有原航平に続き、上沢までソフトバンクに移籍してしまったのだから、戦力をどれだけ削られたことか。
これにご立腹なのは、野球解説者の高木豊氏である。
「人としてどうなんだお前、と聞きたいくらいの心境だけどもね」
胸ぐらをつかむ仕草でそう言うと、
「選手ってわがままのものだけど、人の意見も聞いてみて。周りに同調するやつばかりいたら、お前はいい友達持ってない。筋を通さないと今後、生きづらくなるよ」
しまいには人生訓まで飛び出したのである。
日本ハムOBの岩本勉氏はどうかといえば、
「プロ野球選手はぶっちゃけ、自分の価値を高く見込んでくれてるところでプレーする。ホークスは最大限の評価をして、もういきなり固定給をドーンって提示したんやろ」
そう言って上沢の心境を慮るのだが、パドレスのダルビッシュ有も、似たような「上沢擁護」を展開していた。
「アメリカだと当たり前、選手の権利。日本人の感覚は分かるが、同じ立場になったら同じ事する」
いずれにしても、日本ハムが単年契約しか提示しなかったことが全てではないか。日本ファンの溜飲が容易に下がらないのは理解できるが、よりいい条件のチームを選択するのも、プロの仕事なのである。
(ケン高田)